読書日記

ホームページを開き、ネット通販も開始したら、ホント本を読む時間が無くなりました。
少なくなった読書量の中からですが、マンガ以外の本も含め、面白かったものを紹介します。

店主オススメ  TOP

3/17
(たかた夢一)
たかた夢一「アクションマッサージ」(別冊エースファイブコミックス、A5判、平成3年)
全く知らない名前だったので、古本屋でちょっと気になって少し立ち読み。
なんと四コマギャグでは珍しいエロ路線ものだったので購入した。
“じっくり”というのもおかしいけれど、読み進むと、
絵柄とシュールな味もあるギャグ感覚が『ネ暗トピア』の頃のいがらしみきおに似ている。
『ぼのぼの』を描く前の、あの頃のいがらしみきおは面白かった。
その影響を受けたが故に、画風が似ているのかもしれないけれど、
同じ人の別名だとしても別に不思議ではない。
“いがらしみきお”について調べたら、誕生日はたった5日違いだったけど、出身地は当然違った。
ホントに別人なのだろうか?
いがらしみきおのエロ用の筆名だとしても何らおかしく無いレベルの作品だ。
ネットには、“たかた夢一”についての情報は2件のみ。
竹書房の漫画新人賞の月間賞にノミネートされたらしいことと、
ちばてつや賞の佳作になったことがあるという二つの情報のみ。

2/19(TVチャンピオン 激闘プロモデラー王)
2004.2/19夜、途中からだったが「TVチャンピオン」にチャンネルを変えた。
ちょうど課題の“お雛さま”(?)が完成して、その解説をしている場面だった。
孫たちを連れたおじいちゃんとおばあちゃん、その上で梅の精が花びらを散らすという、妖艶で幻想的なシーンだったが、
その人物表現は写実的であり、色彩感覚も含め、気に入った。
ひょっとしてと思って「亀井潤」という名前で検索してみたら、ご自身のホームページがありました。
F.F.F modeling website
http://www.jtw.zaq.ne.jp/fff/
辻村ジュサブロー(辻村寿三郎)の人形とその色づかいをちょっと思い浮かべました。
Welcome to jusaburo.com
http://www.jusaburo.com/

1/30
(たそがれ清兵衛)
アカデミー賞にノミネートされたとのニュースを見て、早速拝見。
この手のしんみりした日本映画って、かなり久しぶりです。
結構泣けました。
アクションでない真田広之は初めて、こんな抑えた性格の役もこなすんだ、
宮沢りえの映画というかドラマも初めてだったが、役者だったんですね。
清兵衛というキャラクターには、『七人の侍』の宮口精二を思い浮かべました。
寡黙で剣の使い手、かつての時代劇に多い主役を喰う渋い役柄、
アメリカでは、この辺が受けたのかもしれない。
どんな原作小説がこのシナリオになったのか、やはり気にかかるので、やっぱ古本屋ですね。

2004.1/22
(わりと最近みた映画の総括)
ほとんど予備知識無しに視たホラー映画「デッドコースター(ファイナル・デスティネーション2)」がとても面白かった。
一人の予知夢によって死をまぬがれたかに見える人間たちに忍び寄る、逃れられない死の運命と足掻きにも似たそれとの戦い。
これでもかとたたみかけるようにひたひたと襲いかかる死の恐怖と凄絶な死に方の様々。
“華麗”だった「オーメン」の死のシーンを思い出しました。
観客に今度はこう死ぬのかなと予想させるものを思わせぶりに見せながら、時たま巧妙な肩透かしもしてくれる小憎い演出。
ホラーものでは久々に堪能させてもらった映画でした。
「ファイナル・デスティネーション」(未見作品)の続編とのことなので、第一作品を視るのがとても愉しみだ。
ホントは既に死んでいたはずの人間たちと接触した人間たちの運命も少しずつ狂うという設定が、
続編を生んだようなので、第三弾もありえるのかな。

期待が大きかった分、ちょっと物足りなかったのが「トゥームレイダー2」だ。
第一作は導入部のロボットとの格闘シーンで一気に作品世界へと連れ込まれた感じだったが、今回の出だしはいまいちだった。
また前回、強力なゴムを使った体操をしているような瞑想シーンから侵入者たちとの格闘になる場面が新鮮で秀逸だったけど、
第二弾には、それに相当するような、観客をうならせる見せ場はなかったのが、この不満の原因かな。
かなりのレベルの面白いアクション映画であることは間違いないけど。

昨年視た映画だが、トム・クルーズの「M:I-2」は第一作よりも格段と面白かった。
導入部の素手でのロック・クライミングのシーンが良かったのが高い評価となった理由かも。
監督などスタッフが変わると全く別のシリーズのように変わって視えることもあるから、
「トゥームレイダー」の出来不出来もスタッフの所為なのかも知れない。
一方、「ターミネーター3」では主人公役の役者のイメージが第二作とあまりにも違うのでびっくりさせられたけど、
まあ、こんなもんかな。シュワルツェネッガーも歳をとったことだし。
これらに比べると一番期待の大きかった「マトリックス リローデット」、「スターウォーズ クローンの攻撃」もそうだったけど、
全てのシーンがCGIに思えてしまい、もともと映画そのものが作り物なんだけど、
さも作りましたと感じさせない世界を描いて魅せてくれるからこそ映画だと思うのだけど…。
最近の特撮映画はちょっとつまらなくなったなと感じているの俺だけかな。

9/24
三月に引っ越してきたビルの1階がレンタル・ビデオ屋だったが、
なかなか入会する機会がなかったけど、先日やっと約13年ぶりにビデオ屋の会員となった。
この店は古い作品しかなく7泊8日100円。マンガの貸本もやっているが、アダルトビデオの方に力を入れている感じだ。
試写室やネットのできる部屋もあるようなので、アダルト関係は普通の値段かも。
同じ系列店がすぐ近くの大きな電器屋にもあり、こちらは品揃えも豊富で9/21入会した。
偶然月2回の全て100円サービスの日だったので、ちょっとついていた。
2店通算3度で借りたのは次の作品
第1回(100円で7泊8日) 「ラヂオの時間」(ラスト間近が不良で見れず)/「X-MEN」/「AI」
第2回(100円で7泊8日) 「ラヂオの時間」(別テープで再度)/「ミッション・インポスィブル2」/「ハムナプトラ2」
第3回(第一及び第三日曜のみ全て100円)
「スパイダーマン」「スターウォーズ クローンの攻撃」「ハリー・ポッターと秘密の部屋」「メン・イン・ブラック2」

「ラヂオの時間」のみが現代ものの日本映画、
外国映画は全て特撮が売り物で、「ミッション・インポスィブル2」以外はSF。
さらに「X-MEN」と「ハムナプトラ2」の2本以外は全て日本語吹き替え版。
ところで日本語吹き替え版の会話以外の音というのは、原音を使える仕組みになっているのだろうか。
それとも日本側で効果音を別途作って日本語会話と合成させているのだろうか。

パソコンが直ったら、色んな特典のついているDVDだ、当然。
DVDだと、わざわざ吹き替え版を探す必要もない。

★今回の評価
「ラヂオの時間」は別ページで取り上げ済みだが最高の5点。
次は「ミッション・インポスィブル2」で4.5点。
テレビで後半のアクションシーンだけは見た記憶がある。
第一作(3.5点くらいかな)はそんなに好きな作品でなかったけど、
パート2は出だしから指令がでるまでのテンポもアクションシーンも良い、
ラストのカーアクションと決闘シーンも良かった。
監督が違うと全く別の作品になってしまうようだ。トム・クルーズ自身がもっとも乗っていたように見えた。
これでヒロインが私好みの女優だったら満点だけど。
メンキングによるとトム・クルーズ自身がかなりのアクションシーンをこなしていたらしいのが、ちょっと意外だった。
なんとなくスタントだらけと思っていたもんだから。
それにしてもパート2の方が面白いなんて珍しい。(「エイリアン」もそうだったかな。)
(以上2作品はそのうち再度借りて…)
ちょっと落ちる4点は、「スパイダーマン」「メン・イン・ブラック2」
「スパイダーマン」は、壁を這い、クモの糸を操ってビルからビルへと飛ぶシーンがたまらない、
ただ適役はコミックのとおりなのかもしれないが、情けないデザインでちょっと興ざめ。
ストーリーも冴えない内容だど、壁を這い、クモの糸を操つるシーンだけは好きなので高得点。
「メン・イン・ブラック2」はパート1と同じノリで楽しめました。
コメディだと、どんな荒唐無稽な特撮も楽しめる。
(以上2作品はそのうちテレビでやったならば…)
「AI」は3.5点。人間に愛されたいという願う人口知能ロボットが切ない。あの子役の演技で持った作品か。
「X-MEN」「ハムナプトラ2」「スターウォーズ クローンの攻撃」「ハリー・ポッターと秘密の部屋」は3点以下、
テレビでやったとしても、あまり見たくはない作品だ。
「X-MEN」─コミックを知らないからなんだろうけど、肝心のキャラクターたちに魅力がない。
特撮とアクションシーンがちゃちな上に、ストーリーが情けない内容。
「ハムナプトラ2」─この系統はインディー・ジョーンズと比較してしまうので、一定のレベルに達していないと、子供だましに見える。
「スターウォーズ クローンの攻撃」─最初の「スターウォーズ」シリーズの三作には、
続編の都度、特撮ってスゴイなと驚かされ、見ていて毎回心うきうきさせられてしまったものだけど、、
エピソード1もそうだったが、CGもここまで来ると鼻について、ワクワクも、ドキドキ感も無くなってしまった。
同じことが「ハリー・ポッター」のパート2にも言える。
「ハリー・ポッター」の第一作は、話題作ということで期待も大きかったけど、
駅のホームで壁を抜けるという単純なシーンにもワクワクさせられたし、
初めての飛ぶ授業やまだ拙く危なげな飛ぶシーンには登場人物たちと一緒にドキドキできたが、
第二作は二年生でもう飛ぶことは当たり前のことなので、普通の特撮シーンとしか感じられない。
CGが鼻につくという意味では、ビデオ解禁間近らしい「マトリックス」2も、
映画のCMで盛んに流れた集団格闘の群舞シーンを見た限りでは、
予想どおり期待を裏切ってくれそうな気がしている。
私の大好きな特撮は、出ずっぱりではなく、これはという要所を選んで適度に使って欲しいもんだ。(あまり目立ってくれるな。)

次回は貸出し中だった「ロード・オブ・ザ・リング」が筆頭だ。
あと未見のものがまだまだある白黒時代の黒沢作品にしようかな。

9/18
1991年に貸本屋を開業してから、レンタル・ビデオ屋とは全く縁が無くなってしまった。
プータロー時代には、映画(特撮、アクションもの)とお笑い関係を時々まとめて借りていたが、
商売を始めたら、録画した映画などを見る時間もほとんど無くて、未見のテープが増えるばかりで、
レンタルどころではなかった。
商売が少し軌道に乗ると、やっと少し録画した映画を見るようになったけど、
今のように一週間レンタルがあるわけでもなし、
借りたその日に見終わるという自信もなくて、わざわざ入会して借りるということは無かった。
そして先日やっと、ここへ引っ越して来て半年が経ち、1階にあるレンタル・ビデオ屋の会員となった。
お目当ての作品、ずっと気になっていた映画は「ラジオの時間」(三谷幸喜・監督/脚本)だった。
というのも「おヒョイ」こと藤村俊二さんについての本のなかで、その作品について触れられており、ずっと引っかかっていた作品だった。
昨年だったか、姪に最近テレビで面白いの何って聞いたら、「HR」という返答があり、
意識してドラマを見たら、これがなかなかの味で、ハマッてしまった。
ネットで調べたら、脚本・演出の三谷幸喜は、あの「やっぱり猫が好き」の脚本も手がけていたとのことで納得し、
それまで以上に映画「ラジオの時間」が気にかかるようになった。
そして先日やっと見ることができたわけだが、恋焦がれただけのことはあり、期待を裏切らない面白さだった。
日本映画が気になったなんて、マルサの女、続・マルサの女、ミンボーの女 以来かも知れない。
今度も同じ三谷の監督作品を是非…

8/28
「ブライトの憂鬱」竹宮恵子
(白泉社)
26日、久しぶりに未読の竹宮作品を発見、新作だなあと思って購入(もちろん古本屋で)。
なんと表題作が最も好きな「私を月まで連れてって!」の続編だったので、
そうとは知らずに読んでいたものだから、意外な再会に大満足。
おヤエさんの息子・ブライトが主人公。

「私家版鳥類図譜」諸星大二郎(講談社)
シリーズ6作品を収録。うち5作品は「モーニング」掲載時に読んだものだったが、やはり諸星作品は面白い。
マンガ作品では今年読んだ中ではナンバー1かな。

7/31
「古本屋ビジネス 大量出版時代の“商い”」山岡檀・浅野恭平・永江朗・佐藤孔亮・大津なほ子(アルメディア、1996発行)
第二章「ビジネスとしての古本屋」で取り上げられている古本屋は次の11店
万歩書店/高原書店/まんだらけ/山遊堂/ニューサンクス/万陽書房/ブック・スーパーいとう/上野文庫/文生書院/武藤甚目寺店
大型の古本屋に共通しているのは次の点。
広い店舗と多店舗化。広大な商品倉庫。これでもかと言わんばかりの大量仕入れ。
経営者たちは皆、仕入れを制する者が古本屋戦国時代を生き抜く、生き残れると考えている。
また量の確保とともに質も意識している。
ブック・オフに代表される大型新古書店は本の新しさ(発行年と状態)のみが関心事であって、質(内容の価値)という視点が欠けているけど、
マニュアル化に不向きな本を評価し仕入れ売ることが売却(仕入れ)層と購買層との拡大につながると考えている。
先日読んだ「ふるほん文庫やさん」とも通じる古本屋経営の考え方だ。

ブックオフ戦略に乗せられたマスコミの記事やニュースばかりを目にさせられた所為か、
大型古本屋というとブックオフに代表される“新古書店”が真っ先に浮かんでしまうけど、
同じ大型であっても別理念の古本屋たちの違う動きがあったということだ。

7/23
谷口雅男「ふるほん文庫やさんの奇跡」(新潮OH!文庫)定価(本体)848円
北九州に文庫専門の古本屋があるらしい位しか知らなく、店そのものについても谷口氏についても、
事前の知識が皆無だったので、たまたま古本屋で見つけた文庫だったが、読み始めると面白く一気だった。
挑戦し続けている谷口氏のすさまじいエネルギーと生き方に圧倒させられる。
・古本屋が一部の絶版を除き見向きもしていなかった文庫に着目し決意してから開店までの準備期間が7年半
 (本集め、開店資金づくりなどの期間だが、最低限以下の食費と膨大な読書量とで突き破ってしまう継続力には敬服)
・「としょかん文庫やさん」の設立
 (「ふるほん文庫やさん」の経営維持だけでも大変だろうに、宅配便料金の負担のみで全国に宅配貸出しする文庫図書館まで開設とは驚異そのもの)
とことん窮するとアイデアも搾り出されるものなのか、かなりのアイデアマンである。
・海外在留邦人向けの古本文庫の通販の開始
 (海外では日本の新刊が国内価格の三倍はしていたことからスタート、それも変則の後払い方式で)
・文庫本の自動販売機方式(JR売店などに特製のスチール本棚を設置してもらい売上げを折半する方式)
・せどり部隊作戦の全国展開
 (<せどり>とは、高く売れる(そうな)本を古本屋から仕入れて利ざやを稼ぐこと。古本屋歩きが趣味の人には、<せどり>をして古本屋に持ち込み小遣い稼ぎをしている人もいるが、その方式を全国に広げて珍しい文庫を集めてもらうことに。)

谷口氏の人徳なのでしようが、谷口氏と「ふるほん文庫やさん」、「としょかん文庫やさん」の周りにはボランティアなどの人材も集まるようで、そのボランティアや前述の<せどり>の対価を現金ではなく「ふるほん文庫やさん」での本購入チケット代や株券などとして支払うというシステムも、資金繰りの大変な古本屋とNPO図書館だけに、なかなかのアイデアだ。谷口氏だから通用するシステムだろうけど。
●ふるほん文庫やさん古本屋
●としょかん文庫やさん図書館

6/10(2003)
NHK総合「とっておきBSHVドキュメント・日曜日の殺人事件
途中から見たが、フロリダで15歳の黒人少年が白人女性の強盗殺人事件の犯人として捕まった。
少年は最初から否認していたが、警官の暴行と脅しで結局、作られた自白調書に署名を。
警官たちは最初からその少年を犯人と決め付けるような杜撰な捜査を。
また唯一の目撃者は白人女性の旦那で、その証言が警察の裏づけ捜査の怠慢をも招いたようだ。
裁判で(公設)弁護人側から次々開示される警官たちへの、目撃者への疑問点。
そして陪審員の評決は無罪に。
映画「12人の怒れる男」を思い起こさせた。実際にあった事件だから、なおさら恐ろしい。
こんな冤罪で有罪となった人はたくさんいるだろう、なかには死刑になった人も。
アメリカの場合、黒人には特に多いのかもしれない。
今回のが最近の事件だということと、警官の一人が黒人というのも何か哀しい。
冤罪で捕らえられたときに、こんな熱心な公設弁護人に当たる可能性は限りなくゼロに近いだろう。
日本の陪審員制度もスタートするらしいけど、どう根付いていくのかは全くの未知数…


10/12
映画「トゥームレイダー TOMB RAIDER」(DVD)2001年アメリカ映画
感激しました。久々の痛快アクションもので、出だしですっかりハマっていました。
出だしの息もつかせぬロボットとの格闘シーンは、何なのこれって思っていたら、
ヒロインの単なる格闘の練習シーンとわかり、のっけからのゼニのかけ方にビックリ。
古代文明がらみの冒険アクションとしては、インディ・ジョーンズのクラス、
ロボット・アクションとしては、ターミネーターを思い起こさせ、
格闘シーンはマトリックスより面白い。
全く予備知識なしに見た映画では、『キューブ』に次いで久々にオドロキの傑作。
主人公は、アンジェリーナ・ジョリー演ずる、ゲームのキャラクターであるというララ・クラフト(トレージャー・ハンター)で、
これがまたいいオンナ、役のキャラクターも女優ご本人も。
父娘役で共演したジョン・ボイドの実の娘とのこと。
これだけのアクションもので、スタント無しというのだから、オドロキです。
パート2の予定もあるとのことなので、楽しみです。
DVDって、メイキングなどの特典映像がついているのでたまりませんね。
今度は字幕でもう一度見なくっちゃ。


10/4
映画「ハリー・ポッターと賢者の石」
飲み友達が、DVDを持っていたので、借りて昨夜パソコンでやっと見ることができた。
想像どおりの面白さ。
原作の第1巻は読んでいたので、映像による感激は少し減ぜられた感もあるけれども、
マトリックス以来の久々に面白い映画でした。

最近、SF作家・梶尾真治の作品にハマっている。
「エマノン」シリーズ、「ゑゐり庵綺譚」など、シリアスもの、莫迦莫迦しいもの、どれも面白い。

岡崎二郎「アフター・ゼロ」第1〜2巻(小学館)
岡崎二郎の絶版だった短編集が、未収録を含めた再編集版として刊行。
久々の再読なので、どれも面白かったけど、いったいどれが初収録やら…。
ただ、テーマ別の編集なので、似たタイプの作品が続き、ちょっとツライ。
従来のいろんなパターンの作品が並んだ短編集の方が読者としては読みやすい。未収録ものの短編集と従来の再版だと、未収録ものだけ買えば済むのだが、小学館の商魂の現われか?

8/3
先日、「内田善美さんについて」という件名のメールが届いた。
通販リストの説明で、「(店主)こんな繊細な絵を描くのが男性だと知ったときには、ビックリし、ウソだろうと思った。」と記してあったのを見た人からだった。
そのメールには「内田さんは女子美術大学出身の立派な女性です。」とあり、訂正を求められた。
私は、マンガ関連の評論雑誌だと思うけど、何で読んだのか忘れたけど、男性だとずっと思いこんでいました、15年間近くも。
早速、削除訂正したけれど、何を読んでそう思いこんでしまったのか、それが気にかかる。

7/28
塀内夏子「ROAD〜輝ける道」全3巻(講談社KC)
 一カ月前に古本屋で仕入れた本だが、未だに借り手がおらず、店もヒマなので、久々に店で長編マンガを読んだ。
 駅伝マンガだが、変わっている設定はそのチーム編成だ。実業団、大学、高校のチームメンバーには入れなかった補欠を寄せ集めたという混成チームだ。故障上がりや所属チームになじまない一匹狼など、色んな過去を背負った選手が大会当日に初めて顔を合わせ、タスキをつなぐというストーリー。久々に感動ドラマを読んだ気がした。
 貸本マンガとしては一般的に、駅伝、マラソンをテーマとしたものは当店では受けないから、このまま借り手ゼロで終わる可能性もありそうだ。

7/12
大下英治「知られざる渥美清」(廣済堂文庫)
 以前、小林信彦「おかしな男 渥美清」を読んだときに感じたのが、渥美清についてのこの手の本はもう出ないかなだったが、交際を通じての小林版渥美像に対し、大下版は取材や過去のインタビュー記事を通しての実録小説になっており、知らなかったエピソードも満載で、一気に読ませられた。
 凄絶で哀しい役者人生…
 最後の作品となった寅さん映画で、NHKのドキュメンタリー番組取材を受け入れたということはちょっと謎だが、家庭で仕事の話などしなかったであろう田所康雄≠ェ、お父ちゃんはこうやって仕事をしていたんだという家族へのメッセージだったのだろうか?

J.K.ローリング「ハリー・ポッターと賢者の石」(静山社)
 映画のCMを見て以来、面白そうだとずっと気にはなっていた本だが、二分の一の古本屋で見つけたので、ついに買ってしまった。この本も先の展開が気に掛かり昼近くまでかかって一気でした。今さらだけど、世界中の子どもだけでなく大人も夢中になって読んでいるということが実感できました。定価の高い本なので、続きは図書館で借りるか?
 いつの事になるのか判らないが、テレビで映画を放映してくれるのが楽しみだ。それとも久々にビデオにするか。面白い数々のシーンがどのように映像化されているのか待ち遠しい、CMではかいま見たけど。

長編マンガの場合、連載雑誌や単行本で1話か1巻ずつ読んでいるケースが多いので、続きが気になって眠れずにまとめて一気に読むということがめったに無い。ちょっとさびしいことだけど。

7/3
半村良「慶長太平記」全3巻(祥伝社)
面白いので一気に読みたくなり二日がかり。ついつい通販リストの打ち込みをサボッてしまいました。時代伝奇ロマンとあるけど、半分は恋愛ものでした。

6/30
ワールド・カップ期間中は何となく落ち着かず、読書時間がますます減ってしまったけど、その間記憶に残った作品

北原文野「天使の羽を探してる 全6巻」「Printemps プランタン Vol.8」(北原文野個人集〜早春〜)
 お気に入り作品・Pシリーズの新作で、自費出版の本。自費出版ということで、ページ単価は高くついたけど、期待を裏切らぬ面白い新作だった。自費出版のマンガを通販で買ったのは、寺館和子の「人間倶楽部」以来二度目だ。時間があったら、Pシリーズを読み返しながら、この世界の人間関係年表を作ってみたいと思っているが、いったいいつのことになるやら…。
本誌の申し込みは下記サイトにて
早春−北原文野個人集−

半村良「飛雲城伝説」(講談社文庫)
 約800ページの未完の伝奇小説だが、久々の面白い半村伝奇世界に堪能させられた。日曜の夜に読み始めて、翌日は通販リスト打ち込み予定日だったが、それをさぼり二日がかりで一気でした。ただ、文庫版で初めて収録されたという最後の「神代記」はちょっと荒唐無稽に成りすぎた感があり、ちょっとダレました。半村氏が亡くなったあとの出版なので、ひょっとしたら雑誌掲載のままで、作者自身による推敲の手は入っていないのかもしれない。まだ出だしを読んだばかりの「慶長太平記」にも期待。
 「飛雲城伝説」は政治家どもに読ませたい小説だ。少しは主人公・鈴女を見習えと。 

6/7
宮部みゆき「鳩笛草」「クロスファイア 全2巻」光文社(カッパ・ノベルズ)
 宮部みゆきの小説は、古本屋を舞台にした連作とアンソロジーに収録されたいくつかしか読んでいなかったが、SFもので読み応えのあるものを何か読みたいと思い題名だけは知っていた「クロスファイア」を購入したら、「鳩笛草」に収録されている「燔祭」から読んでくれとのこと。
 今まで読んだ超能力を扱ったSF作品だと、現実世界からこの世ではない空想の世界へと連れていかれ、読んだ後も面白いフィクションだったという感想だっただが、宮部の超能力ものは、現実世界にいるまま、実際にあり得そうな、現実に起こっていることかも知れないと感じさせられながら一気に読んだ。推理作家が現代を舞台にして超能力者を描いたから、そんな風に感じたのだろうか。宮部みゆきのSFっぽいものを探さねば。

福山庸治「夜は散歩者」フロム出版(ベル・コミックス)
 たまにマンガについても書かねば。
 久々に再読したら、ストーリーをすっかり忘れており、表題作になっている短編がやはり面白かった。これでもかと畳みかけるドタバタ・サスペンス。
 さわりをちょっと紹介すると、
夜道の車の中、運転手の女性は電気製品を付けっぱなしにして出てきたことに気が付き、別荘が火事になってしまうと、あわてて車をバックで走らせ、やっと着いたが、キーを付けたまま、車のドアをロックしてしまう。当然、家のキーも一緒だ。大きな石で車のガラスを壊そうかと悩んでいるうちに、車は坂道をゆっくりと後ろへ走りだす。サイドブレーキのかけ忘れだ。追いかける主人公だが、車は坂下で或る家の垣根を通り過ぎ壁をぶち破って止まる。そこは風呂場で、たった今、男が女を殺したところ・・・。こんな感じでまだまだ続きます。うまいですねぇ。

5/28
笠井潔「巨人伝説 第3巻(遍歴篇)」(徳間文庫)絶版
 笠井潔氏の作品を読んだのは、店のお客さんにすすめられた「ヴァンパイヤー戦争」が最初だった。その後、「サイキック戦争」のあとがきを読んで、これら伝奇SFが三部作であることを知り、「巨人伝説」全3巻を探していたが、やっと最終巻を見つけて昨夜読了。
 いわゆる「光と闇」、「善と悪」の対決をテーマにした作品群なのだが、遍歴篇で語られるのは、人類に農耕を教え、その文明化を促進しようとする神が悪≠フ側とされていることだ。この逆の設定が遍歴篇の面白さになっている。
 本来、書かれた順番で行くと、この遍歴遍が最初だったのだが、私は一番最後にシリーズ最初の作品を読んだことになる。そして、読後感としてはこのシリーズの萌芽である本編が最も面白かった。
 著者はあとがきで「『巨人伝説』には、かなり特殊な執筆の動機がある。 もう十年以上も前のことになるが、永井豪氏の『バイオレンス・ジャック』を読んで興奮したことがあった。─(中略)─半村良氏の『産霊山秘録』や『妖星伝』、平井和正氏の「ウルフ・ガイ」シリーズ、角度は違うのだが小松左京氏の『果てしなき流れの果に』などとともに、模倣欲望をそそる広い意味での日本SFの名作として、『バイオレンス・ジャック』もわたしの記憶の底深く沈殿することになった。」とあるが、列記された作品群と同様、楽しませてもらったSF作品の一つだ。

日本映画「サトラレ」
 マンガを読んで、こんな超能力もありえたのか、とそのアイデアにびっくりさせられた作品だったが、その映画が先日放送され、そのビデオ録画を先日やっと視た。
 途中ちょっと不満もあったが、基本設定が良いとそれだけで作品は魅力的となるということを感じさせる作品だった。日本映画を視たのは、何年ぶりだろうか。今度TVドラマ化されるとのこと。TVドラマとも全く縁がないけど、これはチェックしなければ・・・
佐藤マコト「サトラレ」第1・2巻、モーニングKC(講談社)

5/17
緒形忍「龍馬死せず」全5巻(歴史群像新書、学研)現在、文庫にもなっているようだ
未だに魅了して止まない坂本龍馬のもしあそこで暗殺されていなかったら¥ャ説だ。このタイプには中津文彦「龍馬の明治」( 全3巻、 カッパ・ノベルス、 光文社)などいくつかあるけれど、どれも作者それぞれの龍馬に対する思い入れがあるので面白い。また、何か見つけたら、きっと買うだろうな。

5/8
「みのりすと」(三原順作品刊行を求める会)
表紙に「樹村みのりファンによる樹村みのりファンのための本」と副題のある同人誌だ。
樹村みのりファンサイトであるパンダホームページの大久保さんに、何か書かないかとお声をかけていただき、拙文を載せてもらった。
それだけでも樹村作品ファンとしては光栄だというのに、会代表で編集発行人の島田さんから同誌を無料で送られ、それが本日届いた。
圧巻は大久保さんによる詳細な作品リスト、以前国会図書館で入手したという未収録作品を送ってもらったけど、半端でない執念≠ナす。これ以上のものはもう出ないだろうというリストになっています。また、大久保さんによるクイズも、樹村作品に対する徹底したこだわり振りが現れています。
元アシスタントの方々によるエピソードなど、樹村みのりファン必携の書です。
ファンの方は是非通販でご購入を。(通販案内は下記サイトに)
「笹生那実」のファンページ

5/6
福山庸治「F氏的日常」(九龍コミックス、河出書房新社)
福山氏がヒトコマを描いているとは知らなかった。本作には、「週刊ダイヤモンド」に掲載したヒトコマ100点が収録。
ヒトコマには「孤島もの」というジャンルがあるけど、大海を漂う、男二人が乗った「救命ボートもの」シリーズが多数収録されており、久々にまとまったヒトコマで楽しめました。「救命ボートもの」も広義では「孤島もの」に入るのだろうが、シリーズ化したのは、氏が初めてかな?
ふと福山庸治さんのファンサイトはないのかと思い検索したら、ご本人のサイトがあり、ビックリ。
下記サイトで福山庸治さんのヒトコマなどが楽しめます。
ヨジラ館/ Gallery YOJIRA-HOUSE

なお、このサイトからリンクで飛んだら、平成13年度文化庁メディア芸術祭のページで
何と本作がマンガ部門の大賞を受賞していました。何と≠ニ驚いたは、文化庁というお役所が主催の賞で、私の好きな福山庸治さんというとぼけた作風とブラックな味付け≠ェ評価され、それも大賞ということにです。判るひとには判るのだと嬉しくなってしまいました。よって、文化庁メディア芸術祭マンガ部門のページを新たに作ることにしました。今まで文化庁ということでちょっと引いていましたけど。
同年の優秀賞は、下記の三作です。私好みのかなりの作品が揃っていますな。
井上雄彦「リアル」、谷口ジロー・画/夢枕獏原作「神々の山嶺」
中村真理子・画/園村昌弘・原作「クロサワ 炎の映画監督・黒澤明伝 日本映画監督列伝2」
追記アップしました:メディア芸術祭マンガ部門

5/5
梅原克文「二重螺旋の悪魔」全2巻(角川ホラー文庫)
上巻をお客さん借りて読んだが、面白かったので、続きが気にかかり下巻を古本屋で見つけた。こういうSFアクションものを読むと、未見の作者・作品がまだまだあるのだろうな、とは思うがなかなか読書の時間がとれないのが現実だ。この作品はハリウッド映画に似合いそう。

5/4
老子道 全2巻 石ノ森章太郎萬画選集1〜2」(1991、たま出版)のまえがき作者の道」が大変含蓄のある面白い内容なので、このページからリンクさせます。(この本は先日通販で旅立ちました)
作者の道=@石ノ森章太郎

4/10
岡崎二郎「時の添乗員」第1巻(ビッグコミックス)
古本屋巡りの後、地下鉄の中で読んだところ、そのストーリー展開に心を動かされ、眼がウルウルしてきて困り、涙を堪えながらずっと下を向いていた。
藤子不二雄FさんのSFに通じる作品を描く人で、全単行本を持っているが、今回の「時の添乗員」は格別に良かった。
雑誌で読んだのが一作だけ入っていたけど、これほどのレベルの人間ドラマが揃っているとは、ちょっと驚きであった。
この作品集で、「藤子不二雄Fさんの後継者」と呼んでも良いかも知れない。

谷口ジロー、原作・夢枕獏「餓狼伝」新装版(朝日ソノラマ)
元版は持っているのだが、A5判という大きい判で読みたくなり、購入し再読。
言っては悪いけど、板垣恵介さんの画力では格闘技を描けても、戦うことに憑かれたオトコを表現しきれていないと感じた。

谷口ジロー、原作・メビウス「イカル」(美術出版社)
「イカル」という題名は漢字三文字「異 力」で表記されているのだが、真ん中の漢字が無い。「上」と「下」文字の一を真ん中に合体した一文字だ。中国語にあるのかな?
モーニングに連載された作品だが、メビウスの関連でもあって美術出版社発行なのだろうか。
浮遊する能力を持って生まれた赤ん坊は軍事機密として秘密裡に実験棟の中で育てられ、少年となった今も色々な実験を繰り返されている。イカルは未だ空を知らずにいる。
一方、試験管ベビーらしい自爆能力を持つ謎のテログループが暗躍しており、第一部完とあるが、どうなるのだろうか。
谷口氏の他の作品とちょっと人物タッチが違うが、飛ぶのとはちょっと違うイカルの浮遊感が堪らない。

美術出版社という、既存の谷口作品とは全く関係のない出版社なため、作者のプロフィールが簡潔にまとまっているので、そのまま紹介。
1947年鳥取県生まれ。72年「嗄れた部屋」でデビュー。ハードボイルドタッチで描く「事件屋稼業」「ブランカ」から、静的な日常を写し取る「歩く人」「犬を飼う」など、幅広い作風を持つ。
関川夏央との共著、明治の文学者を描いた『「坊ちゃん」の時代』で第二回手塚治虫文化賞、大賞を受賞。「遙かな町へ」では、第三回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞している。
数々の作品を描き分ける達人で、近作には夢枕獏原作の「神々の山嶺」がある。

谷口ジロー、原作・夢枕獏「神々の山嶺」第2巻(小学館)
達人≠フ第2巻だ。先日原作小説を買おうかとちょっと迷ったけど、谷口氏の描く、筋肉の軋む音が聞こえてきそうなシーンや凍てつきそうな寒さは、私の想像力ではイメージに限界がありそうなので、小説購入は断念した。だが、続きが気にかかる・・・

4/5
駕籠真太郎「凸凹ニンフォマニア」(東京三世社)絶版
やっとネットで見つけ、昨日到着した。「成人コミック」の指定マーク入りだったけど、もっともな内容。
販売部数そのものが少ないのか、駕籠真太郎の本はホント見つからない。ネットも札幌の古本屋でも。
この奇想天外な馬鹿馬鹿しさにハマって手放さない人が多いのかもしれない。
まだ、4冊しか読んでいないけど、一番のオススメは「喜劇 駅前虐殺」(太田出版)だ。

3/25
昨夜のアイデア・ロボット・コンテスト、立命館の忍者ロボには、何も賞がなかったけど、
あれに一番面白い可能性を感じたのは私だけかな。もっとも、得点するまではまだまだのようだが

2/11
園村昌弘・原作、中村真理子・作画『日本映画監督列伝1 小津安二郎の謎』¥1680円(小学館、A5上製)
園村昌弘・原作、中村真理子・作画『日本映画監督列伝2 クロサワ 炎の映画監督・黒澤明伝』¥1890円(小学館、A5上製)
雑誌連載中、時々読んでいて気にかかっていた作品だが、如何せんちょっと高すぎるので、
古本屋で出合ったらとずっと思っていたが、5日にバスでわざわざ行った古本屋で2冊を発見し即購入。
『小津安二郎の謎』は、小津ファンのお忍びで来日した著名な外国人監督と男女の雑誌記者が、小津安二郎の墓の墓碑銘が「無」であったことから、関係者を訪ね歩いて、「無」の謎を探るというもの。
『クロサワ 炎の映画監督・黒澤明伝』は、「トラ・トラ・トラ」のプロデューサーだったダリル・F・ザナックから亡くなるときに託されたクロサワ想い出の品を携えて来日した米国の青年が、上記と同じ男女の雑誌記者と一緒になって関係者を訪ね歩き、「トラ・トラ・トラ」の監督を降りることになった真相を探るというもの。
(3/25追記)
貸本として、ついに誰にも借りられなかったので、通販で手放すことにした。

1/24
福山庸治「じゅうなな」第1巻(太田出版)
ドタバタ狂気を描かせたら異才・福山の新作。新作の単行本は久々だが、シリアス狂気も恐さがたっぷり。帯のコピー「少年M。17歳の素顔と闇、そして歪んだ狂気」

1/11
諸星大二郎「塔に飛ぶ鳥」週刊コミックモーニング1/24(講談社)
飲み屋での知人にもらった雑誌に諸星作品が載っていた。このシリーズ、全部を読んではいないが、今回が一番良かった。
道新コラムでとりあげた夢の木の下でに通じる似たテーマ「ここではないどこか」を扱っている。不安にさせるこの手の作品は好きだ。

内田善美の作品
ネット通販で手放そうかなと考え、内田善美の新書判作品5冊をまとめて読んだ。内田作品で一番記憶に残っている好きな作品は「星の時計のLiddell」だが、今回久々に読み返して思ったのは、もし筆を折らなかったら、どんな作品を描き続けていたのだろうかという感慨だ。「ひぐらしの森」と「空の色ににている」が特に良かったけど、ときどきドキッとさせるカットが・・・。本人の意向で全作品が絶版というのは残念なことです。恐らく色んな編集者がくどいたのだろうけど。

1/5
年末年始で面白かったもの
井上保『「日曜娯楽版」時代 ニッポン・ラジオ・デイズ』(晶文社)
昭和20年代にあったという伝説のラジオ番組についての本だ。
当然のことながら、私は聴いたことがないけど、色んな笑いに関する本でその面白さについて語られていたので、ずっと興味があった。
「三木鶏郎」という名は個人名ではなく作家や演者を含めたグループ全体を指した言葉というのが正確のようだ。
NHKの丸山鉄雄とCIE(民間情報教育局)のフランク馬場という存在の大きさが「日曜娯楽版」を支えていたとのこと。

「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・アナス」12/31深夜(WOWOW)
レンタルビデオ屋とは縁がないので、期待以上の面白さだった。

「巨大神殿は実在したか・古代・出雲大社のナゾ」1/1深夜(NHK教育)
出雲大社の改築時に発見された直径1メートルの木を三本組み合わせた柱から、謎解きのドキュメンタリーはスタート。この手の作品はやはりNHK。

「信長の夢 安土城発掘」1/1深夜(NHK教育)
発見された安土城の図面から、安土城をCGで再現。城の造りからは今までの信長像とは違う信長が。

12/26
ロアルド・ダール「王女マメーリア」(早川書房)
昨日古本屋へ行くときに地下鉄のなかで、「古本屋」を真っ先に読んだ。江戸川乱歩の編んだ奇妙な味に「忘却同盟」?だかという似た作品があったはずだが、こちらは死亡記事が載った名士に古本屋が請求書を出すというもの。久々のダールの味でした。

「Mー1グランプリ・2001」(HTBテレビ)
優勝者には1千万円という漫才師のバトルで第一回目だ。深夜に録画で観たけど、なかなかの見応えでした。これだけまとめて漫才を聴いたのは久々です。顔を知っていた漫才師は10組中3組のみ。
自分でも審査員と同じように、採点しながら観たけど、やはり笑いの評価というのは人それぞれの感じ方があるようだ。
私の採点でいくと、アメリカザリガニ(高音が面白い)、ますだおかだ(喋りでは一番)とが93点でトップ、次いでハリガネロック(勢いは一番)91点、フットボールアワー(フラがある)90点だったけど、決勝に進出したのは、中川家とハリガネロック。別ネタでの決勝対戦の結果は中川家になった。私はハリガネロックの方が面白かったけど。

12/2
「ビッグコミック・スペシャル増刊(特集・時代歴史コミック)」(2002.1.3増刊号)に
一ノ関圭「牡丹芍薬 第1幕 初鰹」(P10)が掲載。
10年振りの新作ですが、相変わらず達者な絵と構成です。シリーズ化になるのだろうか。
同誌に収録されたさいとう・たかを「刺客 怨み葵」では、
伊達政宗が登場し、隆慶一郎「捨て童子・徳川忠輝」で描かれていた秀忠への反乱計画にからんだイスパニアからの親書到着がテーマになっている。
さいとう氏も描くくらいだから、忠輝を立てての決起計画があったというのは何か史書に記載があるのだろうか?

先日、リンクしている樹村みのりさんのファンサイトに書評記事のコピーを送ったら、お返しに未収録作品とインタビューのコピーが送られてきました。
似たような感じで狩撫麻礼作品も読めるかもしれない。
ネットというのはありがたいものですな。

10/18
浦沢直樹「初期のURASAWA 浦沢直樹短編集」(ビックコミックス・ワイド、小学館)
 初期の作品を収録した「踊る警官」と「N・A・S・A」とを持っているので、古本屋で探していたが、やっと昨夜ゲット。本日確認したら、未収録作品が5本収録。狩撫麻礼原作の短編もやっと読めれました。
 今回全てを通読して感じたのは、初期の浦沢作品のドタバタ感って、福山庸治作品のバカバカしい狂気さに通じるものがある。そして福山タッチに似たものも。何か関係があるのだろうか?
太田垣康男「MOONLIGHT MILE」第1巻(ビックコミックス、小学館)
 連載雑誌では気になってほとんど読んでいたが、通読するとやっぱり半端でない面白さだ。今まさに来たらんとする宇宙ステーション時代を描いた近未来ハードSFマンガだ。久々の本格派SFである。
 世界の最高峰を登りつくし、最後のエベレストの頂上で通り過ぎる人工衛星を見上げた二人の男は、「ここより高い地べたはもう地球にはない」と宇宙を目指すことに・・・。どう展開していくか、楽しみな作品だ。「一平」(アクションコミックス、双葉社)という刑事物を描いたマンガ家にSFものの才能があるとは・・・。何たって原作無しで、この内容ですから。

10/14
 この二週間は、本棚を増やすための本の大移動をしていたので、本を読む時間がほとんどありませんでした。
それに加え、例の雑居ビルの火事の影響で、行きつけの飲み屋のあるビルも廊下に雑誌や新聞を置かないようにという指導があり、いつも楽しみにしていた喫茶店のお古のマンガ雑誌も無くなってしまい、貴重な情報源を失ってしまった。寂しい・・・

 久々にブラックな初見のマンガ家が二人いました。
佐藤久文・作画/相田公平・原作「アンファン・テリブル」第1巻(YJC、集英社)
ゲーム感覚的殺人をテーマにした短編集、いい味が出ています。
帯のコピー「これを読んで胸糞悪くなったあなたは、よっぽどの偽善者か立派なこの物語の主人公。」
間瀬元朗「キョウイチ」(ビッグコミックス、小学館)
殺されてゾンビーとなった少年・キョウイチによる復讐との戦い、不死身性は携帯電話を介在して伝染するという設定でキョウイチは若い仲間を増やす。パート1はサラリーマンの親父とキョウイチの戦い。パート2はその息子とキョウイチの戦い。

9/16
TV映画「パーフェクト・ワールド」(1993年、アメリカ)クリント・イーストウッド監督
 暇な貸本屋とは言えども、あれもこれも、しなければならないことはたくさんあるのだが、
自分でも驚くほど客が来ないので、パソコンで作業をしながら、ちらちらTV画面を見ていた。
今確認したら、放映中の約2時間ちょっと、借りに来た客はゼロでした。
 脱獄犯ブッチを演ずるケビン・コスナー、人質の少年・フィリップを演じるT.J・ロウサー。車で逃避行を続ける二人の間には徐々に友情ともいうべきものが芽生える。途中で一晩世話になった家の親父が何かと息子を怒鳴って殴ることから、ブッチは切れてしまいその親父を殺そうとするが・・・。美しい自然のなかでの悲しいラストへと。
T.J・ロウサーの演技が切なく、最後は泣けました。

9/5
NHKスペシャル「日本人はるかな旅」 第1回「マンモスハンター、シベリアからの旅立ち」(9/3深夜)
日本人の女性モデル何十人の顔の造作を色々測り、コンピューター解析したら、
一人のモデルのデータと世界中のデータとでそっくりな地区の一つがシベリアのバイカル湖近くのマリタ村。
これが、日本人は何処から来たのかというドキュメンタリーの始まりだ。
アフリカに生まれた人類の一部は、マンモスなどの大型動物を求めて、
当時まだ暖かかったシベリアのマリタ平原にたどり着いた。
追記:再放送を見たら、縄文人の歯のDNA検査の結果、似たDNAを持った人が多く暮らしているのが、マリタ平原でした)
地球の寒冷化とともにマンモスたちもエサを求めて移動、
それを追いかけて人間も移動し、当時大陸とつながっていたサハリン・北海道と渡ってきたらしい。
マリタ平原の遺跡から発掘された独特の石器(マンモスの皮を貫く切れ味)とサハリン・北海道の遺跡で発掘される遺跡の石器がそっくりである。
当時も北海道と本州とは離れていたが、新天地を求めた人間は凍りついた津軽海峡を徒歩で渡ったようだ。
こうして、人間は本州を渡り四国・九州まで。
地球温暖化とともに大型動物がすみかとした平原がどんどん減って森林と化す中、ドングリの実を食べるようになった。
ドングリはそのままでは食物にならなかったようだが、それを可能にしたのが煮炊きのできる薄い縄文土器だったとのこと。
マリタ平原の遺跡から発掘された土器は縄文土器に似た点もあるがあくまで保存のための厚い土器で、日本で発明された煮炊きのできる薄い土器は画期的だったとのこと。
薄さを可能にするため、動物の毛などを粘土に混ぜ、つなぎ材料にしていたとのこと。頭いいねー。
何と久々に雄大な推理ドキュメンタリードラマだったことか。
このシリーズは後4回あるということだが、顔の造作のコンピューター解析によると
朝鮮半島とベトナムあたりも似ている地区だとことだったので、
朝鮮半島経由の弥生人と海洋渡来人とのはなしが続編だろうか。
次回は9月9日(日)

9/1
楳図かずお『単行本未収録作品集 妄想の花嫁』小学館
●函の帯に
・表側「本格ホラーのまだ見ぬ世界!!ホラーの巨匠、楳図かずおの貸本時代から現代までの幻の単行本未収録作品、全25編、720枚を完全収録」
・裏側「ホラーの巨匠、楳図かずおの貸本屋時代から現在までの単行本未収録作品をサイコホラー、怪奇、ギャグの三分冊に分けて収録。それぞれ巻末に詳細な解説を付け、貴重な二色原稿も当時のままに復刻したホラーファン待望の完全収録版。」
●定価:本体3500円+税
●三分冊で、それぞれ
「単行本未収録作品集・妄想の花嫁 ホラーの妄想」
「単行本未収録作品集・妄想の花嫁 はじめの妄想」
「単行本未収録作品集・妄想の花嫁 笑いの妄想」
●初版5000部だけ楳図さんの謹製花押入り(「ホラーの妄想」の巻の扉部分に「グワシ!」マーク入りの花押印)

 これだけの数の未収録作品を掲載雑誌などを入手して読もうと思ったら、かかる予算も時間も半端でないので、決して高くない値段設定。新刊で購入したものとしては、鶴田謙二さんの『水素』に次ぐ高額本です。

8/15
塚本俊昭「SF宇宙最終要塞」(芳文社コミックス、昭和53年、絶版
久々に古いSFマンガを読み返したらやっぱり面白かったけど、絶版なので、
未読の方に作品の概要をいくつか紹介します。
「北極点炎上」
・太陽エネルギーを利用した人工衛星発電所を流星雨が襲ったため、送信のレザー光線が暴走し、北極の永久氷原を切断してしまう・・・
「富士噴火大作戦」
・予知された東海地方の大地震を回避するため、地震エネルギーを火山エネルギーに転換し、
富士山から噴出させるという大プロジェクト
「輪廻の風」
・日本上空を通過するジェット気流が日本上空で降下を始め地表に到達して、関東地方および東海地方、中部日本は壊滅・・・
ジェット気流が元の状態に戻るのに10年(日本の首都はサッポロ)
「月をとばせ」
・1982年(作品発表は’77年)、惑星直列現象によって大地震と異常気象が地球を襲う。惑星直列を消滅させるため、全世界から集めた核兵器を月に向けて発射し爆発させて月を飛ばし、火星にぶつけて火星の公転周期を早めることに・・・
(ノストラダムスと同様、惑星直列という言葉もなつかしいです)
「神のメッセージ」
・石油の採掘で大地がスポンジ状態となったシナイ半島全部が沈没
こんな良いセンスを持ったSFマンガ家なのに、作品集はこの本と『SF第2地球誕生』の2冊のみ。一体今何をしているのでしょうか?
SFものファンの方は、是非ネット古本屋で探してください。

8/1
佐藤まさあき『「劇画の星」をめざして』副題:誰も書かなかった<劇画内幕史> (文藝春秋)¥2100円
 読者を皮切りに、マンガ家及び出版人として、マンガ(劇画)と長年関わってきた佐藤まさあき氏による私生活も含めた自伝である。
 手塚作品「宝島」ショックから同人誌や肉筆回覧誌などの子ども時代、そしてデビューと貸本マンガ時代、劇画創世期などが、数々のエピソードとともに綴られている。
 つき合いのあったマンガ家の数も膨大で、初耳の面白いエピソードも事欠かず、一気に読まされた。(よって、やる予定の仕事もせずに)
 佐藤まさあきというと「堕靡泥(ダビデ)の星」しか面白かった作品が浮かばないけど、こういう「反社会的」(悪人が主人公で悪が勝ち残る)作品が生み出された背後に、虐げられ我慢するしかなかった子供時代の生活あったということも初めてわかった。
 マンガ家による自伝的色彩の強い読み物としては、今まで読んだなかでは一番面白かったと思う。関西出身者のものは過去に読んだ記憶はないということもあって。これで詳細な索引があったら、資料としても使いやすいのだけれど。

平田弘史氏のデビュー当時の話を抜粋紹介

7/28
佐藤智一「月のうさぎ」全4(集英社)
 昨夜近所の古本屋で後ろの3冊を見つけ、今朝一気に読んだ。妖怪・精霊・幽霊などが登場するほのぼのマンガで私好みの作風だ。昨年「夜の蝉」を読んで以来、ちょっと気になっているマンガ家だが、連載当時には自分のアンテナに引っかからなかった作家だけにまだ面白い作品がありそうな感じだ。ベテランでもまだ出会っていないマンガ家がいるかもしれないので楽しみだ。
 それにしても、古本屋には若い立ち読み客がいっぱいで、向かいのマンガ喫茶が廃業するのも当然だし、数年前までは当店も学生の夏休みは稼ぎどきだったけど、昔のおもかげはもうすでにない。

7/4
隆慶一郎さんの小説
「鬼麿斬人剣」と「柳生非情剣」とで、亡き隆氏の小説全てが読み終わってしまった。
十分堪能させてもらったのだが、これでもう読み残しの作品はないのだと思うとさびしいです。
どこかにあったはずの「にあんちゃん」も是非読んでみなくっちゃ。
一時期にまとめて一人の小説家の作品を読んだのは、嘘部シリーズでハマった半村良以来だろうか。

6/23
柳家小三治「もひとつ ま・く・ら」講談社文庫
小三治師匠の噺のまくらや講演を集めた文庫オリジナルで、「ま・く・ら」(同文庫)に続く第二弾
小三治さんの声と話っぷりが記憶に残っているので、どれも聞こえるように面白く読める。
ただ残念なのは師匠の所作が見えないことだ。

6/20
谷口トモオ「サイコ工場」第1巻 恐怖の館コミックシリーズ(リイド社)
 見知らぬ作者・作品との出会い、これがあるから読書はやめられない!
 昨夜、入札リストをアップした後、近所の古本屋に入った。そこで題名にちょっと惹かれて偶然手に取ったのが、本書だ。シリーズ名のとおり女性向けホラーなのだが、少年マンガのコーナーに紛れていた。第一話の出だしを読むが、タッチと構成が少女マンガっぽくなくて、ストーリーもなかなか面白そうな感じだ。早速購入し、焼酎のレモンロックを飲みながら、一気に読んだ。ブラックユーモアとスプラッターホラー感に満ちた私好みの作品群。
 釋英勝の「ハッピーピープル」シリーズと似たムードを持つマンガ家だ。これが初連載とのことだが、青年誌向きの内容なので、発表誌の選択を誤ったのではないだろうか。「ハッピーピープル」と同じで、アイデア勝負だから、量産はできないだろうが、楽しみなマンガ家がまた一人増えた。
 他の作品集はないのかと思い、検索してみたが、残念ながら単行本はこれのみのようだ。

5/31
隆慶一郎「捨て童子・徳川忠輝」全3巻(講談社文庫)
 原哲夫・画の「一夢庵風流記」と「影武者徳川家康」の時は、なかなか続きの出ない連載中だったため、続巻が待ちきれずに原作小説を読んだ、というのとは違い、横山光輝によるマンガ版は完結していたため、何となく原作を読むのをためらっていた。マンガ版はもう何も覚えていなかったが、やはり隆慶一郎氏の小説の面白さは半端でない。たった6年間の小説家人生で亡くなってしまったとは、まことに残念だ。未読の作品は残すところ数冊だが、それらを読み終えたら、もうそれ以上はないのだ・・・。

ポール・ニューマン主演映画「暴力脱獄」NHK教育TV5/27放映
 未見の映画だったので、上記の小説「捨て童子・徳川忠輝」をちらちら読みながら、どんな映画かなと視ていたのだが、なかなか面白いストーリーなので、途中から映画に集中した。
 見終わって思い出した映画が「俺たちに明日はない」と「明日に向かって撃て」だ。共通するのは、アウトローで、はみだしものが主人公ということ。みんな心のどこかで自分ははみだしているという気持ちと犯罪者になる可能性を感じているから、このような映画が作られ、観客にも受けるのだろうか。

5/23
佐藤マコト「サトラレ」第1巻、モーニングKC(講談社)
 映画にもなったらしい作品だが、その内容については全く知らなかった。超能力をテーマにこんなアイデアがあったのかと驚かされた。題名から、人の心を読む超能力に関連した作品かぐらいに思っていたが、全くその逆で、周りの他人に自分の心をあけっぴろげに伝えてしまう能力とは・・・。第1話の出だしで唖然としてしまった。久々に続巻の楽しみなSFマンガの登場で、これは是非新刊で買いだ。

5/16
小林信彦「現代<死語>ノート」(岩波新書)
 1945年(敗戦)から1976年までの流行語について暦年で綴られている。時代観察力に優れた著者の批評眼(当時どう感じたか)をもって語られる<流行語>、そしてそのほとんどは<死語>に。さくいんもついているので、笑芸のギャグ事典としても使える。(この本、未読のまま一体どの位ほったらかしていたんだろうか。つん読という読書法だから、しようがないけど。)

5/15
北海道新聞「卓上四季」より
 私も卓上四季氏同様に、タンポポの「弱い在来種が、繁殖力の強い外来種に駆逐された」という図式で思いこんでいたが、都市開発のため在来種の生育地である農村型緑地が少なくなったからで、外来種が在来種を凌駕したわけでないとのこと。都内の植物園での実験によると、同時に植えられた株の七年後は、在来種の株の方が一段と増えていた。(小川潔・東京学芸大学助教授「日本のタンポポとセイヨウタンポポ」どうぶつ社)
 植物と動物とでは違うのかもしれないけど、今さらだが「思いこみ」というのは危ないと感じた。

 話は変わって、昨夜の「言葉を覚えたチンパンジー」TV再放送、面白かった。親に育てられておらず、集団の中で子育てを見たことがないアイちゃんが、始めての出産と子育て。色々考えさせられる観察ドキュメンタリーだった。

5/14
西条昇「笑伝・三波伸介 びっくりしたなあ、もう」(風塵社)
三波伸介といえば、私にとってやはり「てんぷくトリオ」だ。それも井上ひさし作成のコント時代だ。
しかし、本書を読むと三波伸介の主眼はあくまで喜劇にあったようだ。喜劇の復権、再興・・・
日本の喜劇と言えば、毎週末TV番組でやっていたかつての松竹新喜劇、まだ先代の天外や明蝶がいた頃、
TVしか知らない私には、この頃で喜劇の時間は止まっている。
本体1500円だったが、今やこの値段は普通か。でも、面白い本で一気だった。

5/11
北海道新聞「卓上四季」より
もういいかい骨になってもまあだだよ
ハンセン病患者が詠んだ川柳とのことだ。

5/9
駕籠真太郎「喜劇 駅前虐殺」(太田出版)
 駕籠真太郎の本が面白いと何で読んだのかは忘れてしまったが、興味を持ち数ヶ月の間、古本屋を探していたけれど、やっと発見し購入した。エロ・グロ・ナンセンスのこの馬鹿馬鹿しさは、青山パセリの「パワー・ボム・シアター」以来だ。他の作品集を見つけたら、即買いのマンガ家だ。
 こういう作風のマンガ家がいましたら、是非教えてください。

5/6
久々なので、最近面白かったものをまとめて紹介します。

さそうあきら画・花村萬月作「犬・犬・犬(ドッグ・ドッグ・ドッグ)」第1〜2巻(小学館)
 淡々と人を殺してしまうという感覚の麻痺した青年・通称「マヒケン」が主人公。その恐ろしさ故に、アイツとはあまり関わりあうなとヤクザの親分に言わしめる「マヒケン」だけれども、バイオレンスの中に青春マンガの臭いがあり、中年無名画家との出会いで「マヒケン」がどう変わっていくのかなど、今まで出会ったことのないキャラクターだけにその進展が楽しみである。

平田弘史「新 首代引受人」「月刊アフターヌーン」5月号(講談社)
 行きつけの飲み屋の隣が喫茶店で、そこではある程度のマンガ雑誌を備えており、雑誌の続きが出るとゴミとして出されるので、そのゴミのおこぼれを頂戴して拾い読みしているという雑誌がいくつかある。「月刊アフターヌーン」もそのひとつだ。ゴミなので、もちろんマンガ好きの誰かに先を越されることがあるけれども。 
 単行本「新 首代引受人」には、第1巻という表示がなかったので連載は終わったものと思いこんでいたが、第4話84ページが一挙に掲載された。不定期と言えども、平田作品がまだまだ読めそうなので、ありがたい雑誌である。

真鍋昌平「THE END」「月刊アフターヌーン」4〜5月号(講談社)
 「スマグラー」(講談社、アフタヌーンKC)で注目した真鍋昌平だが、その新作の連載が開始された。まだ、第2話ということで、どんな世界を見せてくれるのかは不明だが、意外性のあるストーリーになりそうで楽しみ。
 「月刊アフターヌーン」では、上記のほか、「犬神」、「EDEN」、「勇午」の続きが楽しみである。

梁慶一(ヤン・ギョンイル)画・尹仁完(ユン・インワン)「アイランド」第1〜2巻(エンターブレイン)
 平井和正の小説を原作にした「死霊狩り」で注目した韓国のマンガ家だが、韓国での単行本が翻訳出版された。呪術で魔物を退治するハンター・バン、ちょっと高慢ちきな富豪の娘・ミホがコンビを組むサイキック・アクションもの。やはりタッチに迫力があります。

遥々アルク「快適陸上生活」「週刊モーニング」3/29(講談社)
 人間以外のあらゆる種が絶え、生物の姿を模した機械生命体≠作ることを禁止するバベル法がある未来世界が舞台。町の電気屋さんに、「機械じかけの鳥を作ってほしい」という依頼があって物語は始まる。
 ちょっと鶴田謙二に似たタッチと味のある作風の新人だ。「機械じかけの鳥」という設定だけで、もう私好みです。各種の飛行船が登場した宮崎アニメにも何か通じるものがある。遥々には「はるばる」とルビがあります。
 

3/29
画・高岩ヨシヒロ、原作・宮崎克「松田優作物語」第1〜3巻(秋田書店)
故松田優作について、友人、知人、映画関係者を取材して、デビュー前からの色んなエピソードが描かれており、映画関連のマンガでは久々に面白かった。
松田優作のTVドラマ、映画はそんなに視ていないけど、ジーパン刑事、「ア・ホーマンス」、「ブラック・レイン」くらいしか記憶に残っていないけど、映画をとにかく愛していた役者≠セということが伝わってきて、こんな人が若くして亡くなったのか、とちょっとせつなくさせられました。

福本伸行「無頼伝 涯」第5巻(講談社)
初の少年誌連載「無頼伝 涯」が完結した。もっと色々展開させて引っぱるのかと思っていたので、意外とあっさり完結したという感じだが、福本伸行らしい面白い作品でした。

谷口ジロー「天の鷹-SKY HAWK-」WEEKLY漫画アクション連載中
WEEKLY漫画アクションって、エロ路線だと思っていたので、ページをめくったことがなかったけど、ひさびさにパラパラっとやったら、谷口ジローの作品が載っていたので、ビックリした。
月イチ連載の第3回目だったけど、谷口さんの画って何か心が落ち着きます、上手いからですかね。
ストーリーは、明治初頭、会津を追われてアメリカに渡った武士二人が、インディアンを迫害する白人たちに、日本刀で立ちむかうというアクションもの。
谷口さんのアクションものっていうのは久々でなかったろうか。

3/20
シリーズ21世紀人 東京医科歯科大学教授藤田紘一郎「清潔社会を考える」(北海道新聞3/18の記事から)
面白ければ何でも良いとのことで、今回は新聞の記事からです。
・ヒトは寄生虫や細菌を体内にすまわせ、寄生虫たちはアレルギー反応を抑える。アトピーやぜんそくなどがこんなに増えたのは、日本人のおなかから回虫がいなくなったからだ、と。
・「日本だって35年前にはアトピーはなかった。回虫を駆除したために、これだけひどくなった。」という藤田氏は、サナダムシを自らの体内で飼育≠オ、寄生虫との共生を実践しているとのこと。
 アトピー性皮膚炎なんていう言葉すらを知らずに子ども時代を過ごした世代としては、
サルマタケが生えていそうな散らかしたアパートに暮らしているから、言うんじゃないけど、
私自身病気らしい病気に罹ったことがことがないし、
清潔はビョーキだという学会の異端児らしい藤田教授の説が大変面白かった。
主な著書「笑うカイチュウ」「獅子身中のサナダムシ」「清潔はビョーキだ」「日本人の清潔がアブナイ」など。
(この記事の聞き手が私も取材を受けたことがある木村仁さんだったことが判り、ちょっとビックリ)
(3/21追記)
木村編集委員に感想メールを送ったら、返信メールに次のようなコメントがありました。
雑誌ならともかく、これは新聞には書けない・・・
>藤田さんの研究室で見たサナダムシの標本は
>繊細で、美しく、上質な稲庭うどん(秋田の名産、私の好物です)
>のようで、うまそうでした。

3/18
出久根達郎「粋で野暮天」(リブリオ出版)
・『出版人の万葉集』からの一句
 「大型書店出来る噂を打ち消してシャッターを上ぐ力込めつつ」(田中誠)
 昨年のブックマーケットがオープンする前の私の心境と同じだ。

2/17
唐沢俊一+唐沢なをき「ZORO ZORO ぞろぞろ」(アスペクト)
落語をネタにしたパロディマンガ。久々の馬鹿馬鹿しさで面白かったけど、落語をネタにしたものでなければ、買わなかっただろう。

2/14
「狩撫麻礼作品集」(アスペクト)
一昨日、近くの古本屋で「狩撫麻礼作品集」SIDE A巻をやっと発見し入手。半年かかって、全2巻がやっと揃った。
題名のとおり、狩撫麻礼が原作を書いたマンガ家の作品を集めたもので、副題が「カリブソング」とある。
狩撫麻礼ファンのために、単行本未収録の作品名をここで紹介する。
(SIDE A)4人収録
・泉晴紀「ダークマスター」 SFものでちょっと奇妙なストーリー
・いましろたかし「おめーに似た奴」 連載3回分で全1話、老婆専門の詐欺師のはなし
(SIDE B)6人収録
・かねこあつし「CALLING」 青春もの
・やまだないと「ホラぁ」 SFものシリーズ2話(「東京7チャンネル」、「まぼろしラーメン」)
未読のどれも、狩撫麻礼のイイ味が出ています。
◆大友克洋の青春ものでイイ味の作品に「EAST OF SUN,WEST OF THE MOON」というのがあるけど、
あれって狩撫麻礼の原作デビュー作品だったんだ。
そうなのと思って、大友作品集「さよならにっぽん」を確認したけど、狩撫麻礼の文字はどこにもない。
ユリイカ「大友克洋」も見たら、巻末の作品リストでやっと(原案/狩撫麻礼)と小さくあった。
大友作品も狩撫作品も好きな私としては、この扱い方にちょっと驚いた。
(2/16追記)
雑誌「THAT’Sコミック」(シップ+劇画村塾 平凡パンチ臨時増刊 平凡出版 S55)
この中の「劇画村塾小史」によると、狩撫麻礼の原作デビューは、
「シリーズ輪苦への長い旅 ザ・リミット」(漫画ジョー’79.2/22号)とあります。
一方、大友克洋「EAST OF SUN,WEST OF THE MOON」は、漫画アクション’79.3/8号
原稿依頼やその提出が大友作品の方が先だったとしても、原作デビューという意味では大友作品ではないようです。
なお、同誌には小さいけど「ザ・リミット」の表紙が載っており、それによると、画・園田光慶とあり、ボクシングもののような感じだ。
  

2/12
五十嵐大介「はなしっぱなし」(講談社)
先日久々にJRで古本屋巡りの遠出をし、「はなしっぱなし」の第2・3巻をやっと入手した。
奥付をみたら、第3巻が1996年の発行なので、もう5年くらい探していたことになる。
私は好きな作品なのだが、貸本としては全く客受けはしないタイプの作品なので、新刊は買えなかった。
トトロのようなもののけとか精霊とか、大人には見えない世界が見える少年・少女を主人公に描いた不思議短編集だといったらよいのだろうか。
何かほのぼのとしてジーンとくる作品群である。が、残念なことに絶版のようだ。

そのうちのひとつ「虫売りのはなし」を紹介すると、
或る少女が街をぶらぶらしていたら、道ばたに少年が座って季節はずれのたくさんの虫を売っているので、少年に話しかけた。
少年は養殖じゃなく天然だよと応え、父さんの捕り方を説明する。
寒くなったので昼間虫たちは、いっしょけんめい日なたぼっこをしているのだけど、日が傾くとあきらめの悪い連中は、どんどん狭くなっていく日なたを求めて、最後には森で一番高い木の梢にたくさん集まり、そうして日の沈むとそこにひとかたまりにかたまってしまい、虫は寒くて朝までずっとこのまま。父さんが夜にその木まで行って、幹をけとばすんだけど、こないだは虫のカタマリが頭にぶつかって、「父さん入院しちゃったんだ」、「だから僕が虫売りをしてるんだ」。ホントかウソかわたしは知らない
という味のある8Pです。

この作品を是非読みたいと思った方は、下記復刊ドットコムで復刊リクエスト投票をお願いします。(2002.2/21記)
復刊ドットコム 五十嵐大介「はなしっぱなし」

2/9
映画「シックス・センス」監督及び脚本:M. ナイト・シャラマン
遅蒔きながら、昨日飲み友だち推薦のビデオ「シックス・センス」を視た。
予備知識は第6感を有する少年が主人公らしいということとブルース・ウィリスが出ているというだけ。
意外なラストシーンにびっくりしました。冒頭で“ラストの秘密”をまだ見てない人に話さないようにとメーセージあったが、
敢えてそう入れたという気持ちが見終わって理解できました。
ラストで、あれっ、どうしたの、そんな・・・と思いながら、早速ビデオを巻き戻し、
途中何か不自然だなあと思ったシーンのいくつか、結婚記念日のシーン、少年の家へ初めて行った日の少年の母とのシーンなどを
早送りして確認したが、それでだったのかと納得しました。
少年が母親に自分には幽霊が見えるという秘密を告白して母と和解するシーンでは泣けました。
ブルース・ウィリスの抑えた演技と子役の天才的演技が光っています。
「キューブ」もそうだけど、やっぱり映画ってシナリオ次第だよな。
要注目のM. ナイト・シャラマン

1/31
松永豊和「BAKUNEYOUNG バクネヤング 2」(小学館)
発売から約3年も経って、やっと古本屋で第2巻を見つけ、昨夜読んだ。
第1巻の内容はかなり忘れてしまったが、ヤクザと警察という組織にマジで喧嘩をうってしまうという主人公・馬久根の脳天気さと、
凄まじいというほかにない破壊力とはやっぱり面白い。
主人公の巻き起こした大騒動を描いたこの2冊で、一体何人のヤクザと警官が亡くなったのだろうか。
警官の死亡者数では「ザ・ワールド・イズ・マイン」(新井英樹)も相当なものだけど。
なのに面白いというのは、中学一年の時の作文に「僕の夢は、池球(地球の誤字)を征服することです。」と書いた主人公のキャラクターと、
翻弄される脇役たちのキャラクターに何か憎みきれない味があるからなのだろう。
続きがどうなったのかとネットで調べたら、昨年秋に書き下ろしを加えて完全版が出たとのことだが、
パワーダウンとの評価もあったので、今度も古本屋探しだ。

高屋良樹「強殖装甲ガイバー 17」(角川書店)
何せなかなか続巻の出なかった作品なので、ストーリー設定の細部を忘れかけているけど、
遠大な人類進化計画の謎が明らかにされた。これは久々の進展なので、また少し面白くなってきた。

1/26
「毒薬と老嬢」ジョセフ・ケッセルリング作/黒田絵美子訳(新水社)
「毒薬と老嬢」という映画をかなり前に視たが、あの映画をもう一度視たいなあと時々思っていた。
古本屋の100円コーナーで、この題名の背を発見したときは、映画のシナリオかと思ったが、内容は戯曲のシナリオだった。
調べたら、舞台劇がヒットしたので、後に映画化されたらしい。
昨夜面白くて一気に読んだが、ブラックな味付けのコメディで、乱歩の名付けた奇妙な味≠フ作品だ。
映画のストーリーはすっかり忘れてしまったけど、映画用のシナリオは別の脚本家が書いているいるので、やっぱりもう一度視たい。

1/17
星野之宣「コドク・エクスペリメント」第1〜2巻(ソニー・マガジンズ)
本格派SFマンガで、ひさびさに堪能、読み応えがありました。
地殻変動が激しく一部の動物のみかろうじて生存しているという崩壊も間近らしい星に、色んな星から集めた最強の生物たちを運び、そこで生き残ったものが最終兵器だというコドク℃タ験で、ストーリーはスタート。
地球最強である恐竜の世界を描いた長編の次は、最強の宇宙生物たちの物語、どう展開していくのかが愉しみである。
永松潔「孫正義物語 孫がゆく」(小学館)
ソフトバンクの孫氏について描いたマンガ。
特に関心をもって記事など読んだことがなかった人物だけど、勉強に基づく先を読む発想と留まることを知らないタフさを備えたものが企業を伸ばし生き残るのだと納得。

1/12
板橋しゅうほう「パパキングママジェット」(東京三世社)
絶版の本だが未読の作品が収録されていたので、古本屋で見つけ購入した。
収録作品のうち「DOWN FORTH」と「MOTHION21」が小気味よく面白かった。
第22回読売国際漫画大賞
年末に帰省したら家では読売新聞も新たに取っていたので、久々に読売国際漫画大賞の発表を見ることができたが、課題「出発」で大賞を受賞した「よ〜いドン!」はイイ作品だ。
子どもたちの徒競走のスタート直前を描いたヒトコママンガなんだけれども、スタートラインの白線が円になっていて、子どもたちはそれぞれ円の外側に向かってスタートのポーズをしており、その中心で先生らしい人がスタートのピストルを打とうとしているというもの。イイ味がでています。
前記の「MOTHION21」でふとこのヒトコマを思い出しました。

1/8(2001年)
花輪和一「刑務所の中」(青林工藝社)
話題の本作を昨夜、ブック・オフで入手した。近くのブック・マーケットより遠くのブック・オフに出物が多くあるというのは、古本屋で探して仕入れるものが多い貸本屋として、一方古本屋が商売敵という貸本屋としては悲しむべきか、はたまた喜ぶべきか、複雑なところだ。
塀の中と言えば、阿部譲二の「塀の中の懲りない面々」位しか読んだ記憶に残っていないが、
あちらがヤクザの「塀の中」プロによる文章体験記だとすると、
こちらはマンガ家の「塀の中」初経験者による画体験記ということで、画で精密に描かれている分、
「ほー、そうなっているのか」と眼に訴えてきて、説得力がある。
塀の中の雑居房にはテレビがあるなんて、これを読むまで知らなかった。自由には視られないにしても。
綿々と描かれる食事の内容をみると、珍味はないにしても俺よりよっぽど健康的な食生活を送っている。
不健康な奴が入ったら、間違いなく健康な状態に快復しそうだ。
本作が怪作であることは間違いない。

12/20
長谷川哲也「アラビアンナイト」(ルアール出版)
諸星の「西遊妖猿伝」に通じるものがあるが、どちらも妖術を扱った古典を題材にしているので、当然か。
自分好みのこんなノリの妖しい世界を描いてくれるマンガ家は、三浦建太郎や伊藤潤二、高橋葉介など数少ない。
連載雑誌が廃刊になったため、描き下ろしを加えた第3巻でストップ中。

大塚英樹「会社を辞めて成功した男たち」(講談社+α文庫)
総勢22名の起業家に取材しまとめたノンフィクション。
貸本屋として行き詰まっている自分に、何かインスピレーションをと思って読んだが、皆さんそれぞれ個性的で強者揃いだ。
それにしても、子ども時代や留学、勤務などでの海外生活経験者が多い。
世の中には色んな価値観があるんだと感じさせてくれるであろう外国での生活は、柔らかな発想を生むのであろう。

12/13
昨夜久々に面白い作品に出会った。
真鍋昌平「スマグラー」(講談社、アフタヌーンKC)
アフタヌーンで連載の第1話のみ偶然読んで気になっていた作品の単行本を古本屋で見つけた。
殺し屋、死体の運び屋、ヤクザなどの裏社会を描いた作品だが、妙にリアル感のあるタッチとストーリーで面白い。
次作品も期待出来そうな新人(?)だ。

邊 炳俊(ビョン ビョンジュン)「新日マンション201号」(ビックコミックスピリッツ52号)
第110回スピリッツ賞入選作で韓国在住マンガ家の日本デビュー作品
ちょっとブラックな作品で、オチもひねりが利いておりSF短編では久々に楽しめた。
こういうのはアイデア勝負だけど、作者の引き出しにどれだけのアイデアが詰まっているのか気になるところだ。
韓国での単行本を是非日本語訳して欲しいもんだ。

11/17 小林信彦「おかしな男 渥美清」(新潮社、¥1800円)
 笑芸人関連の本が昔から大好きだが、著者が小林信彦氏ときては、もう言うこと無し。数々出された「渥美清」モノではベスト。そこそこぶ厚い本だったが、一気に読ませてもらいました。こんな本が出てしまうと、もう渥美清についての本は出ないかもしれない。

11/4
小田光雄ブックオフと出版業界(ブッオフ・ビジネスの実像 なぜ、書店が消え、ブッオフだけが増えるのか)」(ぽるぷ出版
「古本屋さんに行こうよ」の掲示板でも話題になっていた本書を元同業者より一昨日半値で入手した。
「はじめに」を読んだだけで、なかなか面白そうな本だと感じたが、店ではほとんど読む時間がとれないので、
昨夜行きつけの飲み屋で焼酎のレモン割りロックを飲みながら一気に読んだ。
著者は出版業界の人で、本業界の不況とブックオフ商法の虚像を鋭く分析している。
本が消費財となった現在、生まれるべくして生まれたやり方なんだろうが、
その萌芽は札幌が発祥の地といわれる二分の一商法にすでにあったと感じる。
読む前から何となく感じていたのだが、フランチャイズで加盟して生き残れるという商売ではない。本部は儲かる仕組みだが。
そう思ってみたところで、我が商売に少なからず影響があることを否定できない。
あちらがコケル前に当方がコケそうなあんばいだ。

10/21
今回は本ではなく、ビデオです。
「CUBE キューブ」監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ、カナダ映画、1998年日本公開
 貸本屋を初めてから、レンタルビデオとは全く縁がなくなってしまい、テレビ放映の洋画もほとんど見たことがないけれど、この作品は今年の始め、飲み屋で会う映画ファンからSF・特撮もののWOWOW録画テープを借りた時に偶然紛れ込んでいたものだが、その出だしの設定とストーリー展開の面白さに圧倒されてしまった。けれどタイトルも監督も忘れてしまいずうっと気になっていたのだが、やっと判明した。
 この商売を始めて約10年だが、この間のベスト1作品かもしれない。あの「マトリックス」よりも面白い。未見の方は是非借りてご覧ください。なまじストーリーの知識を持たないほうが作品世界にトリップできます。SFサスペンスドラマです。

10/9
春風亭小朝「苦悩する落語」(カッパブックス、光文社)
「苦悩を続ける21世紀の落語界は、いったいどうなっていくのか。噺家の夢と挫折」が、小朝の例を通して語られている本。
協会などを作ってはいるが、意外とそれぞれの噺家が孤独だという落語界
それに比べれば、貸本屋はハナからひとりなんだし、全てを自分で変更決定できるのだから、
廃業に追い込まれないないよう経営転換をしなければ・・・当然カネをかけずに。
なのに、何もアイデアが出てこな〜い。
苦悩を続ける21世紀の貸本屋は、いったいどうなっていくのか。

10/5
山上たつひこ「光る風」山上たつひこ選集第11〜12巻、双葉社)
 「光る風」が選集に収録されたときに、セリフなどの一部が変わって朝日ソノラマ版とは若干異なるというのを何かで読んだ記憶があり、ずーっと気になっていた。先日偶然入ったネット古本屋にこれがあったので、本当に一部が変わっているのか山上たつひこmaniaxさんの掲示板で質問したところ、そうだとの回答があり、早速注文したのが昨日到着した。
 サンコミは資金稼ぎに通販で売ってしまってので、ソノラマ文庫版と比較したが、何のことはない名詞の一部が下記のように書き換えられていただけ。例の言葉の自己規制というヤツだろうか。
 セリフ以外にも建物などのカットの拡大や左右が逆転したカットなどがある。また「インドシナ戦争」を説明した見開きページの地が白になって、兵士たちのカットが真っ黒の影絵のように変更されていた。このカットは以前の方がよっぽど良いと思う。元写真とかがあってその版権でもからむ問題でもあったのだろうか。
<見落としがあるかもしれないが、変更された部分>
非国民→とんでもない奴だ   非国民→軟弱者   非国民→売国奴
狂人→病気   精神病院→病院    狂人なのか→ヘンなのか
フーテン 失業者 コジキ・・・と→フーテン 失業者・・・と
毛唐→外人   奇形児→患者

という意外な結果だったけれど、未読の「鵺・秩父地幽党始末記」が収録されていたので、満足

9/29
雑誌「BRUTUS(462号)」(マガジンハウス)で、「20万人が選ぶ日本のアニメBEST100」が発表されていたので、その一部を紹介します。
ちなみにこの私は宮崎アニメ以外はずうっと見たことがありません。
第1位「機動戦士ガンダム」(23,015票)、2「ルパン三世」、3「ドラえもん」、4「ドラゴンボール」、5「宇宙戦艦ヤマト」、
6「アルプスの少女ハイジ」、7「新世紀エヴァンゲリオン」、8「あしたのジョー」、9「巨人の星」、10「名探偵コナン」、
11「ドラゴンボールZ」、12「サザエさん」、13「ちびまる子ちゃん」、14「銀河鉄道999」、15「キャンディ・キャンディ」、
16「風の谷のナウシカ」、17「タッチ」、18「となりのトトロ」、19「世紀末救世主伝説 北斗の拳」、20「頭文字D」(4,776票)

8/30
大石まさる「空からこぼれた物語」(YKコミックス)
 未見のマンガ家であったが、古本屋で巻頭の8ページ作品「さくらのうみ」を読んで気に入って購入。ほのぼのとした色んな味わいのある短編集である。SFファンタジー(作者はパラレルワールドと説明)ものは鶴田謙二の「Spirit of Wonder」の世界に通じるものがある。これが第一作品集だろうか。要チェックのマンガ家だ。
(1ヶ月のうちに二度もノートパソコンの方がおかしくなり、そちらにかなりの時間をとられたので、ますます店で本が読めなかった。どうやら二度目のカスタム再セットアップというのをやらねば、ノートパソコンをまともに使えないようだ。)

7/28
出久根達郎「四十きょろきょろ」(中公文庫)
 昨夜読んだエッセイ「『古書彷徨』(中公文庫)あとがき」に、手元に全くお金のない昭和61年の大晦日に
現金書留の速達が届いたら道新の原稿料で驚喜したというのがあり、現在道新に原稿を書いている貸本屋として何か因縁じみたものを感じた。
(今日が原稿締め切り日で、先ほどEメールにて提出)
 就職で上京した出久根さんが最初に配属された貸本屋にまつわるエッセイがあり、こちらが現職なだけに面白い。
 出久根作「貧乏数え歌」部分の抜粋
一月勇むも、二月逃げ腰、三月サラ金、四月尻に火、五月ごめんなさい、六月ろくでなし、七月七転、八月八倒、九月苦しく、
十月神も仏もなかりし月、十一月ヒモつき、十二月死にます

福本伸行「無頼伝 涯」第一巻(KC)
今度は初の少年誌への連載だが、「カイジ」の続編と同様に、どう展開してくれるのかが楽しみな作品だ。

7/13
出久根達郎「たとえばの楽しみ」(講談社文庫)
「東雲堂」という題のエッセイに引用された西村陽吉の口語歌
「机の上に本が一冊載つてゐる それを読み返す時間がほしい」
「本を読む時間の足りぬさびしさに 用のない雑誌の隅まで読んだ」

大平光代「だから、あなたも 生きぬいて」講談社
いわゆるベストセラーもので、「五体不満足」以降、初めて気になった本である。
いじめについての体験談を今まで読んだことがなかったけど、こんなに陰湿なものなのかと思う。
本当に面白い、楽しいと感じられるものが学校生活の中にないと
「いじめ」が連帯意識を感じられる唯一のものになるのだろうか。
資格には縁のない俺だが、頑張っただけで司法試験に合格するとは思えないので、読解力、記憶力の優れた人なのだろう。
極道の妻時代をもっと読みたかったが、関係者もたくさんいるのだろうから、書けなかったのかも。

7/7
梁慶一(ヤン・ギョンイル)/原作・平井和正「死霊狩り」第1巻、アスペクトコミックス
平井和正原作のマンガでは、ケン・月影さんの「アダルト・ウルフ・ガイ」シリーズのキャラクターが最も良かったが、
この韓国のマンガ家梁慶一さんのタッチは、「死霊狩り」の世界にマッチしていて、なかなかの描写力である。
韓国にも日本マンガに合う人材がいたということで、少し吃驚。
林石隆という登場人物も久々に目にすると、とても懐かしい名前だ。

それにしても、平井和正さんの小説が「アダルト・ウルフ・ガイ」の神がかっていく後半以来、
面白くなくなったと感じているのは、私だけだろうか。
昔の作品は徹夜してでも一気に読みたくさせる魅力に溢れていたが・・・

7/2
岡崎武志「古本屋さんの謎」角川書店
岡崎さんの本は、「古本屋めぐりはやめられない」以来2冊目
当然のことながら、どちらも古本屋でゲット
均一小僧と自認しているだけあって、均一台から、イイものを見つけだしている
最近均一台・棚を熱心に見なくなったというか、二分の一系列の古本屋を中心に歩いていることもあるが、
札幌では均一台・棚には、岡崎さんが見つけたような古い本は並んでいないという気がする。
最後にこれはというものに出会ったのは、数年前で、
学生時代から捜していた「悪魔の聖者 小説マルキ・ド・サド」(ガイ・エンドア、早川書房)くらいか。
これは200円均一の棚にあった。それ以来、「均一でゲット」の興奮とはご無沙汰している。

岡崎さんも書いているがお宝の山を古本屋でみつけたら、夢だったというヤツ
古本屋歩きが唯一の道楽だと言う人は、同じような夢を時たま見ているんだろうな

6/28
隆慶一郎「吉原御免状」、同「かくれさと苦界行」新潮文庫
隆慶一郎さんの小説は、原哲夫のマンガの原作となった「一夢庵風流記」と「影武者徳川家康」を読んだのみであったが、面白い長編小説が何かないかと物色していたら、ある本でデビュー作「吉原御免状」が面白いと紹介されていたので、2冊まとめて古本屋で購入し、読了した。
影武者家康その人がこちらにも出てきたときは、ちょっと吃驚したが、やはり面白い。数ページ読むともう既に隆慶一郎さんの世界に引き込まれている。こんな感覚はかって半村良の伝奇小説に出会ったとき以来である。
通販作業疲れがあるようなので、昨夜は通販リストの打ち込みを早めに止めたが、活字人間のストレス解消はやっぱり活字に限る。3時間も眠ってはいないけど。

6/2
白土三平「カムイ伝第二部」第21巻 小学館
久々の続巻で、今回のメインは「歯ッ欠け」猿で動物マンガとしても傑作であるが、
金山の方も少し動きが出てきたので、続きがますます楽しみだ。

福本伸行「天」第15巻 竹書房
こちらも久々の続きで一気に読んだ、ついに東西決戦が終局、面白い。
「銀と金」の続きを描いてくれないものだろうか。

5/28
横田順彌「古書狩り」ちくま文庫
古本屋で見つけるのを諦め、小説では久々に新刊で購入した。
古書にまつわる短編集で、当然半分がSF仕立て
小説では久々に満足感
横田さんのハチャメチャSFは、あまり読んだことはないが、
「日本SFこてん古典」や古書蒐集にまつわるエッセイは面白かった。

古書では出久根さんがいるが未読のものは、古本を見つけるか、文庫になるのを待っています。
古書を題材にした小説では、梶山季之のセドリ男爵と紀田順一郎の古本屋探偵も良かった。

別冊宝島494「お宝コミック ランキング」宝島社
「復刻・復刊されないコミックス−それぞれの事情」(取材構成・栗原裕一郎)
の記事が特に面白かったので、購入するか、4ページですので立ち読みしてください。

記事によると「やはりいちばん多いのは、差別的題材・表現を含んでいたがために出版できなくなったケース」
(藤子「ジャングル黒べえ」、ジョージ「怪力ボンゴ」など)とのことで、
ほかに「版権・肖像権・盗作などの問題」(池上「信長」など)や
「作者本人が望まない・拒否しているケース」(「内田善美は、もうマンガの業界とは縁を切りたいという理由で、
自作の再版・復刻を認めないらしい。」とあるが、いったい何があったのでしょうね。)などがあるとのことです。

業田良家「自虐の詩」光文社
上記の宝島の記事で、読後感として「聖書」と「失われた時をもとめて」とが引き合いに出されており、
また、雑誌「ダヴィンチ」の「芥川賞をとらせたいマンガ」ランキングBEST50の47位にランクされていて、
気にかかっていた作品だったので、古本屋で見つけて購入
所収の「幸江の亭主」というシリーズはまずまずの出来であった。

業田良家と言えば、最近雑誌で読んだ短編で、良い家族を演じきれなく者がロボットとを代役にして家を出、
最後全員がロボットとなっても良い家族を演じ続けているというのがブラックで面白かった。
このシリーズが短編集になったら買いだ。
 

●以下掲示板書き込みから●

3月22日掲示板
三原順「ビリーの森ジュディの樹」全2
三原順の遺作を初めて読みました。
三原作品は、7.8年前に当店の女性会員に借りて読んだ「ムーン・ライティング」シリーズ以来です。
「ムーン・ライティング」シリーズはストーリー上の変身の必然性が理解できず、好きな作品ではなかった。
しかし、「ビリーの森ジュディの樹」は遺作ということで、
ラフな下書きのカット、ページも多く、読みづらさはあったものの、
読み応えのある密度の濃い作品で、2時間半位の映画になったら、
面白いサスペンス作品になりそうな気がします。
未読の「ルーとソロモン」シリーズも是非読みたい。

3月15日掲示板
北原文野「夢の果て」全6(新書館)
先にカウカウ大臣の掲示板に探索依頼した「夢の果て」2、3、4巻の3冊をやっと入手しながら、
なかなか長編を読む時間がとれずにいたが、
昨日は確定申告も終わり、落札品の発送と行方不明品の探索以外の通販業務をせずに、
夜全6巻を一気に読んだ。
3〜4年は探していただろうか、久々に読み応えのある長編で胸がいっぱいになりました。
この作品は、地上の放射能を逃れ地下都市で暮らす時代の超能力者に対する迫害とそれとの戦いを描いた大河ドラマであるPシリーズの一つであり、旧作ではあるが、今のところ本年読んだ作品ではベスト1です。
シリーズの新作はあまり描いてはいないようですが、女性マンガ家のSF作品が好きな人にはオススメの一品です。
新書館のWINGS COMICSシリーズで絶版ものですが、評論で取り上げられたという記憶はないし、
プレミアムがついているシリーズという訳でもないので、
是非古本屋で探して一読を・・・・・
ついでに感想も訊かせて欲しいものです。
なお、探してくれた人によると東京ではそんなに難しくない本とのことでした。

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