道新マンガコラム 「夢の果て」北原文野作

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Pシリーズ雑誌連載スタートのお知らせ(2004.1/11最下段に追記)

(2002年10月4日付け道新夕刊) 漫壇 再版待ってます 第1回目
「夢の果て」北原文野作   SF物の隠れた名作
 いわゆる「絶版」「品切れ」となり、古本でしか入手 できないマンガが多数ある。そんな本を探すのには、古 書店をまわるか、その目録通販に頼るしかなかったのだ が、今やインターネットにより古本探しは格段に便利に なった。また、読者投票に基づいて出版社に再版を求め るネットサイトもあり、マンガ本をめぐる状況に変化が 現れている。今回が初回となる本コラムでは、「絶版」 「品切れ」ながら埋もれさせたくない名作を紹介してい く。
 まず取り上げるのは、北原文野(あやの)作「夢の果て」。月刊「ウィングス」(新書館刊)で一九八五〜九 一年に連載され、八六〜九一年に同社から全六巻として 順次単行本化された作品である。
 この作品は、作者が今も描き続けている「Pシリー ズ」に属する。シリーズの舞台は、人間が放射能で汚染 された地上を逃れて地下で暮らす未来の地球だ。そこで は超能力者が、「混乱させる者」Pと呼ばれて迫害され ている。このシリーズは、主人公と脇役が作品ごとに入 れ替わり、視点と時間軸を変えながらPたちの悲しみに 迫っていく巧みな構成をとっている。本作は、シリーズ中で最長編の 作品で、本作を読まずしてSFマンガを語るなかれ、と 言いたい隠れた名作である。
 しかし、入手が極めて難しい作品であるのも事実。筆 者は、全六巻からなる本作のうち、まず三巻を古書店で 見つけ、その後、残りの三巻をようやく入手した。入手 は順不同で、その間、実に四年。そんなわけで筆者の思 い入れは深い。シリーズを連載していた別の二誌が相次 いで廃刊したこともあり、作者は現在自費出版でシリー ズを刊行し続けているが、雑誌での定期連載が待望され る。
 ところが、本作が文庫全三巻で早川書房から再版され るという知らせが、この原稿執筆中に飛び込んできた。 十月中旬から順次発売予定とのことだ。売れ行き次第で は、他のPシリーズ作品も復活するかもしれない。
 さて、今年になって再版された名作に、楳図かずおの 「イアラ」があり、これはマンガファンの間ではちょっ としたニュースであった。「迷ったら即買い」という古 本買いの鉄則があるが、これは今や新刊にも当てはま る。残念なことだが「いつまでもあると思うな新刊マン ガ」である。
       (マンガ専門貸本店「夢の屋」店主)

(コラムには字数制限があるので、もうちょっと)
 「夢の果て」の残り三冊を入手するのは大変でした。札幌の古本屋では最初の三巻に出会って以来、二度とお目にかからなかったし、当時まだネットもやっていなかった。
 後にパソコンを買い、ネットを始めたが、今もそうだと思うが、ネット古本屋でも見つからず、後に、とあるマンガファン・サイトの掲示板で探している旨を書き込みました。それを見た東京の人が古本屋を探してくれることになってから数ヶ月、やっと入手し一気に読むことができたという次第。また、他の作品集3冊はネット古本屋の世話になったので、やはりインターネットってすごいものですね。
 私がPシリーズに対し思い入れが深いのは、この入手の困難さより、キーワード検索したとき、シリーズや本作についての読書感想的なページが何も検索されなかったことにあります(もっとも当時googleという優秀な検索エンジンはなかったけど)。本作を知らない人がほとんどのためか、はたまた正当な評価がなされていない作品のためなのか。Pシリーズに魅せられた一ファンとしては、それが残念であり不満で、思い入れのマンガ家、作品について「皆様の投稿や書き込みにより増殖中」というサイトま・ん・ぱ・らができた時に、早速「夢の果て」について投稿しました。
 そういったこともあったので、「漫壇 再版待ってます」というコラムの新シリーズの第一回目は、是非Pシリーズでと思ったわけです。
 残念ながら、貸本屋としても、時々掲示板に書き込むマンガファン・サイトでも、「夢の果て」、Pシリーズ、北原文野について知っている人には、ついに出会えなかった。後に、ご本人のサイトがあることを知り、そして復刊ドットコムで投票を受け付けていることを知ったときには、「俺だけではなかった」と嬉しくなりました。
 今回、SFの早川から発売ということで、うれしさもひとしおです。文庫では、ちくま文庫に一目置いていたけど、ハヤカワ文庫も見直しました。 

北原文野作品についての詳細は、下記サイトへどうぞ
早春−北原文野個人集−

他のP<Vリーズ作品も復刊ドットコムで復刊投票を受付中です。投票がまだの方はご協力を
絶版本を投票で復刊!


(2004.1/11)作者の北原文野さんより、雑誌連載スタートのお知らせがありました。
絶版だった傑作「夢の果て」がハヤカワ文庫で復刊されたときに、そのうちに一般雑誌で新シリーズの連載も…、
などと期待しておりましたが、ついに実現。やはりうれしいですね。
新作Pシリーズ新連載です♪
  2004年1/6に出た『ミステリーボニータ』(秋田書店の少女まんが月刊誌)
2月号から、数カ月、新作Pシリーズを連載しております♪
久々の商業誌連載ですので、よろしかったら、この機会に
ごらんくださると嬉しく思います♪
詳細及び最新情報は下記アドレスの「早春−北原文野個人集−」で確認願います
http://tokino.vis.ne.jp/ayano/

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