道新マンガコラム

メイプル戦記川原泉

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(2002年1月18日付け道新夕刊) 漫壇 北の名作 第4回目
メイプル戦記川原泉  札幌舞台の女子プロ野球
 待望の札幌ドームが昨年オープンした。ところが、マンガの世界では、それに十年先立つ一九九一年、札幌の地にドームが堂々登場している。
 川原泉作「メイプル戦記」では、こうだ。野球協約の改正で女子にもプロ野球選手としての道が開かれ、札幌ドーム(愛称はコロポックル)を本拠地とするセ・リーグ七番目の球団「スイート・メイプルス」が誕生。物語は、監督就任の要請を受けた広岡真理子(元・高校野球部監督で生物の教師)が札幌へやってきたところから始まる。
 オーナーは「スイート製菓」の女社長・立花小雪、球団の社長はその孫の立花俊之。しかし、入団テストなどはすべてそれからで、決まっているのは広岡監督と二人の外人選手のみだ。
 ただ、テストの応募資格には厳しい条件が一つあった。「高卒以上または来春高卒予定の女子に限る」だ。タカラヅカとプロ野球のファンであるオーナーが、この二つを合体させて楽しもうというのが球団設立の狙いらしい。
 テストで合格した一軍選手は十一人という少数精鋭。ヘッド・コーチには、広岡監督の元ライバル監督・高柳が就任する。そして、変わった経歴の選手が二人。高校時代に相棒で、後にプロ野球で活躍する捕手・小早川に恋してしまい、ドラフト一位指名をけって雲隠れしゲイ・バーに勤めていた本格派投手・神尾聡志。男性だ(ハートは女ということで合格。大きなリボンがトレードマークで源氏名は瑠璃子)。そして草野球チームでは強打者だった仁科紘子(夫はセ・リーグを代表する投手だが、彼の浮気が原因で家出、別居中)。
 ところで、なぜ舞台が札幌なのか。日本初の女子プロ野球チーム誕生の地として、フロンティア精神に富んだ北海道がふさわしいという作者の意図があったのかもしれない。何たって試される大地≠ナすから。
 メイプルスによるドームでの開幕戦は、九二年。その戦いぶりは、そして気になる神尾と小早川との再会は、さらに仁科夫婦の因縁対決は─。これは本作を読んでのお楽しみ。
 ところで、札幌ドームが登場するマンガとしては、水島新司作「新・野球狂の詩」がある。この作品では昨年、札幌ドームを本拠地とする「札幌メッツ」が誕生。水島自身がドーム取材で札幌を訪れ、話題になったことが記憶に新しい。
             (マンガ専門貸本店「夢の屋」店主)

(コラムには字数制限があるので、もうちょっと)
 女子プロ野球というと、昨年末TVでたまたま見た映画に「プリティ・リーグ」(アメリカ、1992年)というのがあった。第2次世界大戦中のアメリカで、プロ野球選手が兵士として出征してしまったので、女性のプロ野球リーグを作る事になったという当時の実話を映画にしたもの。チームの監督役はトム・ハンクス。野球殿堂入りするというセレモニーがラストで、意外と面白かった。
 一方、日本の戦後を舞台にした、ちょっと毛色の変わった女子プロ野球マンガに高橋ツトム(「地雷震」というイイ味の刑事もので脚光)の「鉄腕ガール」(週刊コミックモーニングで連載中)がある。   

「メイプル戦記」全2巻(白泉社文庫、白泉社)
「メイプル戦記」全3巻(花とゆめコミックス、新書判、白泉社)絶版
水島新司「新・野球狂の詩」第1〜4巻(モーニングKC、B6判、講談社)

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