道新マンガコラム

しばいたろかこしばしげる作

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(2001年7月13日付け道新夕刊)第15回目 漫壇 ただ今貸出中
しばいたろかこしばしげる作   痛快 愛すべき暴れん坊
 古本屋巡りで地下鉄に乗ると、電車内での傍若無人な甲高いおしゃべりにイライラさせられることがある。そして着いた古本屋では、読書のじゃまをするなと言わんばかりの立ち読み客。だが一昔前の缶コーヒーのCMのように、ガツーンと言うこともできず…。
 そのガツーンを行動で表してしまうのが本作品の主人公・薬田大吾だ。そったように薄いまゆげと鋭い目つき、そして一本欠けた前歯と高校生らしからぬヒゲ、大阪弁という大吾は最近転校してきたばかりだ。その風貌(ふうぼう)ゆえに先生も含めた学校の皆から一目置かれている。第一話「どこ歩いとんねん」から鉄けんがさく裂。というのも、クラスメートが花壇の上を歩いて近寄って来たからだ。
 大吾は顔に似合わず、花と料理が好きで、かわいい絵のバンドエイドや裁縫道具をいつも持ち歩き、休み時間には少女マンガ雑誌も読むという正義感にあふれた憎めない変なキャラクターなのだ。
 そんな大吾だから自分からけんかをしかけることはないのだが、その強さと風貌ゆえに災難を招き、またその優しさと正義感ゆえに騒動に巻き込まれるのが、彼の日常なので、笑う場面のタネはつきない。ジャンルとしてはツッパリものなのだが、この愛らしいキャラクターで、女性のお客にも受けている。
 暴れん坊と言えば、題名と動物名以外に一切文字がないという動物マンガ「ゴン」(田中政志作、講談社刊)も面白い。これは恐竜の子ども・ゴンが突如、現代の野生動物世界に出現して大暴れするという設定なのだが、ゴンがクマやライオンなどのどう猛な動物をたじたじにさせるのがたまらない魅力だ。でもち密なタッチで描かれた絵本のようなマンガなので、残念ながら貸本としては人気がない。
 ちょっと疲れているときには、愛すべきキャラクターたちの暴れっぷりに笑って、ストレス解消だ。
              (マンガ専門貸本店「夢の屋」店主)

(コラムには字数制限があるので、もうちょっと)
 「ゴン」は海外でも発売されているが、1998年にアメリカコミック界のアカデミー賞、ウィル・アイズナー賞を受賞(最優秀ユーモア賞、最優秀外国作品賞)、また同年フランスでは、ソリエス漫画祭にて、最優秀外国作品賞を受賞

「しばいたろか」(秋田書店) ヤングチャンピオン・コミックス(B6判)全20
「ゴン」(講談社) ワイドKCモーニング(A5判)第6巻まで

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