インターネット古本屋への道

ネット古本屋の志願者のための入門講座です
2002年3月5日創刊の下記メルマガに連載したものです
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インターネット古本屋への道 補足》(2005.5/8)
このネット古本屋入門講座は、古本屋にあこがれている人が蔵書でネット古本屋を開業するとしたら…、
を元々念頭に置いてスタートしたものだが、その蔵書の品数が少なくなった場合、売るための本を新たに仕入れる必要がある。
私の場合は、古本屋で処分したことがほとんど無かったことと貸本屋だったこともあって、
床が抜けそうなほど、蔵書が詰まったダンボール箱にとりかこまれているけれど、
普通の人なら時々処分もしているでしょうから、現在の蔵書数には限界があるでしょう。
そこで“古本の仕入れ(セドリ)”について補足することとしました。

(古本の仕入れ)
●どのように古本を仕入れるか?
古本屋が本を仕入れる方法としては、次の方法がある。
古物商組合へ加盟した場合の組合が運営するセリ市への参加、
売却希望者からの連絡による出張買入れ、自店(自宅)での持ち込み買入れ、宅配便などによる輸送買入れ、
古本屋やデパートの古本市での買入れ、つまり“セドリ”などである。
私自身は貸本屋を開業した1991年に古物商の許可を取ったものの、あれから14年間が経ったが、
貸本屋時代に貸本として使えそうなマンガ本を店頭買入れをした経験しかないので、
古物商としての買入れでは何も経験がないに等しい。

2000年にネット古本屋を開業してから、売ることを意識して初めて古本を買うようになりましたが、
その方法は全てセドリ(高く売れそうな本を古本屋で安く買って売り、その差額を稼ぐ行為)でした。
つまり貸本用の本を仕入れるため古本屋巡りをしていたときに、
ネット古本屋で高く売れそうな本が安く売っていないかと歩いていたわけです。
モノを売る商売というのはなべて仕入れ値と売値の差額で利ざやを稼ぐものですけど、
その点では古本屋も全く同じです。
予想以上に高く売れるという大化けもタマにはあるけど、
見込み違い(結局仕入れた自分に見る眼が無かったということ)もまだまだ多く、
とにかく何をいくらで仕入れるのかということについては、
経験を積みながら少しずつ知識を増やし、それに伴った勘が少しでも働くように心がけるしかない。
つまり日々勉強ということでしょうか。

●どんな古本を仕入れるか?
どんな本を仕入れるかということでは、当然売れる本(売れそうな本)ということになります。
何が売れる本かというと、当たり前の話ですが、人が探している本です。
「どんな本を探しているか」というと、かいつまんだ話になりますが、
1.絶版の本であり、
2.新刊だと定価が高くてなかなか買えない高額の本、
3.ベストセラー作品などの現在話題の本などです。
「話題の本」は、定価の半額+αが古本価格ですので、セドリには向きません。
自分が読み終わったら安く売るというのであれば、結果的に安く読めたことにはなりますが、
これだと1回だけの仕入れということになり、儲けにはつながりません。
つまり、セドリに向く本は、「絶版の本」か「定価の高額な本」ということになります。
いくら「絶版の本」とはいえ、たくさん売れてどこの古本屋の棚にも並んでいる本は売れません。
後に文庫化されているけれど、最初の判を探している人もいます。
小説の場合だと、文庫化などされずに最初の判で絶版になった本の方が探している人は多いはず。
簡単には見つからないそこそこ探しづらい本が狙い目です。
ネットで古本を売ってみようと思う人は、皆さんそれぞれ好みの分野があるはずです。
かつて古本屋を歩き回ってやっと探し出した本、古本屋の棚でみかけたが値段が高くて手が出なかった本などです。
そのときに、どんな本が高く売っていたのかは、どんな本が入手しづらかったのかは、
経験上、好みの分野についてはそこそこの知識を持っているはずです。
セドリはまずその分野からスタートしましょう。

何を仕入れたら良いかのヒントをふたつ。
絶版本の出版交渉をするサイトに「復刊ドットコム」があります。
http://www.fukkan.com/
どんな本を探している人が多いかということで、仕入れの参考にはなります。
たま、楽天フリマ(EasySeekを統合)には、探している本を登録すると参加している古本屋や個人に配信してくれるサービスがあります。
楽天フリマ
http://furima.rakuten.co.jp/help/
ここ(情報提供するのコーナー)に“探しものハンター”として登録すると、“楽天フリマ探しもの情報”というメールが配信されてきます。
夢の屋はコミック・ジャンルのうち3部門に登録しています。
力を入れようと思っている部門に登録すると、こんな本を探しているのかという参考になるかもしれません。
なお、この登録は無料で、相対で実際に売買が成立したとしても手数料は不要です。

●どんな古本屋がセドリに向いているか?
どんな古本屋を回ってセドリをするかというと、いわゆる新古書店が中心だ。
新古書店も系列によっては、マンガなどでプレミアム・コーナー(絶版本など)を設置している店もあるが、
新古書店で概してメイン(高価買い入れの対象)となっているのは、発行の比較的新しい話題の本や本状態の良好な本なので、
絶版本などネットで高く売れる可能性のある古い本は、105円のコーナーに並んでいることが多い。
また、105円ではなくとも、他の人気の本に比べて、比較的安い価格設定におさえてあることも多い。
アニメのムック本やマンガ家のイラスト集といった大判の本は、定価の数分の一と安くしてある店もある。
セドリとは、そんなコーナーを中心に古本屋の店内をウロウロすることである。
多くの新古書店では、本状態が悪いと破棄処分にしているようだが、
その中にこそ多くの珍しい本が紛れている可能性があり、破棄はまことに残念だ。

新古書店以外の古本屋でも、入り口の近くに100円などの均一コーナーを設置してあるところが多い。
自店の売りではない分野の本や在庫処分品などが並んでいるが、
結構珍しい本がでていることもあり、ここもあなどりがたい。
普通の古本屋だとそれぞれ力を入れている分野があるので、店主の得意分野でないと安い価格設定のことも多い。

デパートでの古本市には、古書籍組合の加盟店が出店しているが、
ここの100円コーナー、300円コーナーなどは在庫処分品などのためか、
店頭のそれ以上に玉石混交の状態だ。私自身は最近行っていないけど。

売るために古本を購入するのは初めてだという人は、
105円(100円)のコーナーのみに限定して仕入れたら、売れない場合にも被害は少ないし、
また自分の読みたい本だけを仕入れ、読み終わったらそれを転売するという、積極的に仕入れをしないという方法もあります。

●定期的な古本屋巡り
比較的近い店へはバイトの行き帰りにめぼしいものが入荷していないかと時々チェックしている。
また、車が無いので地下鉄乗り放題の一日乗車券を使い、
ブックOをメインに数週間に一度くらいのペースで定期的に巡回している。
連休中の先日は地下鉄とバスを使って5軒の古本屋を廻りましたが、さすがに疲れました。

古本屋って、誰が何時どんな本を持ち込むのか予測はつかないので、どんな店も侮れないけれど、
本の買取りが多い店ほど、安くて良い本に出合える可能性は高い。
小遣い稼ぎのつもりで仕入れるのなら、通勤・通学の帰りに最寄の古本屋をのぞくように心がけるとか、
休みの日にたまには古本屋巡りをするとかがベターだと思う。
古本屋の多い都市に住んでいるか、近隣がそうだという人ほど、セドリ(仕入れ)の意味では有利だ。

ネットで古本を売ってみようという人は、元々古本屋歩きが好きだろうし、
探しているという本が何冊もあるでしょうから、
自分の本探しのついでに、売れそうな本も仕入れるつもりで古本屋巡りをやると、まさに一石二鳥である。
自分が読みたくって買った本も、当然のことながらネットで販売できる。
この場合だと、自分が読んで楽しんで、更にそれを売って利ざやを稼ぐこともでき、一度で二度おいしいということになる。
プレミアム本でなくとも、古本屋へ売るよりは高く売れる可能性がある。

古本屋巡りに必携となるのが、古本探索用の手帳だ。
複数巻のものは全巻揃えた方が売れやすいので(もちろんネットには抜けた巻を探している人もいるが)、
抜けている巻数とか第何巻まで入手したかをメモしておく必要がある。
私は作家名のあいうえお順に、作家名と作品名、巻数などを記して、外出時には必ず携帯している。

●ブックOに行った場合の店内巡回コース
店が違うと並び方がちがうので、若干の変動はありますが、私の場合、歩く基本道筋はそんなに変わっていません。
まずA5判のマンガに始まり、B6判、新書判、とマンガの105円コーナーをメインにチェック。
次はマンガ、アニメ関連の大型本コーナー、大型本では映画などもチェック。
そこでやっとマンガを離れ、一般書コーナーへ
四六版などが多い一般書コーナーではまず小説・エッセイ、そして映画、芸人など、
次に新書と文庫(自分の読みたい作家で何かないかチェックするのが中心)を歩いて店内の巡回が終了します。
ここで何をカゴに入れるのかは、それぞれの得意分野とその知識、個人的趣味とが反映される。

●最近やっと見つけた本の例
梅原克哉(後の梅原克文)「迷走皇帝」(幻のデビュー作)エニックス文庫
ネットで梅原克文さんについて検索して、その存在を教えられた絶版の小説で、最近ずっと探していた本だ。
これは現在まだ読んでいる最中ですけど、読み終わったら即売る予定で、まさに“一度で二度おいしい”という例です。

(最後に)
あなたが見つけてくれるのを待っている“お宝”があるはずです。
ただお宝といえるほど高額に化ける本に出合えるのは、一年に数度あればたいしたものだけれど。
そんな古本が手頃な価格で出品されないかとずっと探している人がいます。
古本屋を探して歩き廻る時間もない、そんな手間はかけていられないという人は多いはず。
そんな人は少し高くともネットで見つかったら購入します。運賃を支払ってでも。
セドリとは、そんな本の出合いの仲立ち行為でもあります。
これにより生じる売買差益は、古本屋を歩き回って見つけ出した行為への手間賃・報酬です。
何たってセドリには交通費、重い本を運ぶという肉体労働、出品のため作業、梱包作業など様々の手間が付随していますから。
今度古本屋へ行ったときには、均一コーナーを中心に、仕入れを意識しながらじっくりチェックしてみましょう。
セドリを抜きにしても、普段気づかなかったような本・著者と出合う可能性は増えます。

セドリではまだまだヒヨコの私ですが、書き出すとキリがないので、今回はこれまでとします。
現在ではネット古本屋の入門について記してあるサイトも増えたようなので、
またこれについての本も出版されているようなので、色々読んで勉強しましょう。
ただ以前にも書きましたが、どんな本かとその価格にもよりますが、
そうそう簡単には売れないということを肝に銘じておきましょう。

今度時間があったら“どう売るか”について補足したいと思っていますが、どうなることやら。
もっともバイトもしていてネット古本屋専業ではないので、大きなことは言えないけれど。
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