臼井吉見《題名》事故のてんまつ(川端康成の自殺/小説/裁判和解で絶版に/初帯)、《出版社/発行年/サイズ》筑摩書房、1977初、四六判上製、帯、新刊案内 ★(帯のコピー)「72歳で自ら命を絶ったノーベル賞作家の、死の前の半年間を描いて、一生涯抱きつづけていた哀しみの根源をたどり、その人と文学に新しい光をあてた力作中編小説。」/★(店主)川端康成の小説で読んだのは「眠れる美女」「片腕」と「浅草紅団」ぐらいで、少し気になっていた本ではあったが手に取って読む縁がずっと無かった。前篇は、川端小説のファンでもない嫌がった鹿沢縫子が川端康成に乞われて川端家にお手伝いさんとして入り、そして川端康成の死までを描いている。後篇は川端康成の死後、川端家を辞した鹿沢縫子が川端小説を改めて読んで川端康成について色々考え自問する章となっている。著者はあとがきで「故石田六郎さんの精神分析による石川啄木像とかさね合せることによって、川端さんの孤独の根源に近づくことができるかもしれぬと考え、作品のバランスも無視して、その方法を強行したのも、ひとえにそのためにほかならない。作品を支えるかなめがここにあるこというまでもない」と書いているが、石川啄木の方により関心があるものだから、この部分が一番面白かった。 ★本の状態は並、小口ヤケ、帯少痛み・背少色あせ、総204ページ、定価880円 ★送料はゆうメールで90円(代引除く特約、Y69-042 |