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（２００１年８月１７日付け道新夕刊）第１６回目 漫壇 ただ今貸出中
| 「オールド・ボーイ」土屋ガロン作、嶺岸信明画 「だれが何故」探る戦い |
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今の世の中、どこでどんな事件・事故に巻き込まれるかわからない。また自分の気付かないところで、いつ他人の恨みを買っているかもしれない。今回はそんな騒動に巻き込まれた男のサスペンスをご紹介。 男はある日突然拉致（らち）され、その理由も分からぬまま、ずっと軟禁されている（ビルの秘密の七・五階）。トイレとシャワーが付いた小部屋には、ベッドとテレビがあるのみ。食事は食堂からの出前が昼と夜に与えられる。いつの日にか出所≠ｪあることを知った男の日課は、正常な精神を失わないため、テレビを見ることと肉体を鍛えることだった。 そして、ついに出所≠ﾌ日が来る。看守の説明で、ここはヤクザ組織が運営する私設刑務所で、懲役十年≠ﾆいうだれかの注文（その代金は三億円の前払い）で軟禁されていたことが分かる。薬で眠らされた男は夜の公園で目を覚ます。男は広い公園と夜空に、十年ぶりの自由を感じた。「すでに戦い方は決めてある」と、なぞの敵に反撃を誓う男。 「いったいだれが、何の目的で十年間も？」。主人公にとっては理不尽極まりないこの異様な設定の第一話に、傑作の予感がした。さらに今、「こんなことは荒唐無稽（むけい）な創作だ」とは、だれも言い切れないのではないか。怖い時代になったものだ。 わが店の本棚には、本作のこの出だしの概略を貼りだしているが、やはり興味をそそられるようで、本店での全八巻の人気は上々だ。 先日も本作を気に入ってくれたお客さんから「原作者の土屋ガロンの他の作品はないか」と尋ねられた。「インターネットのマンガファンの間では、狩撫麻礼（カリブマーレイ、以前本コラムで彼原作の『ボーダー』を紹介）の別ペンネームだとのうわさがある」と説明すると、「なるほど」と納得していた。アウトローを描く際の独特のにおいと味が共通している、と私もにらんでいるのだが、果たして真実はどうなのだろう。 それはさておき、主人公の奪われた十年の憤りを胸に、「だれが何故（なぜ）」を探る戦いへ一緒に参加してみませんか。熱い感動がきっと待っているはずだ。 （マンガ専門貸本店「夢の屋」店主） |
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（コラムには字数制限があるので、もうちょっと） 解放され近くの繁華街に出た男は、ポケットに入れられていた千円札でまず腹ごしらえ、残ったのは十円玉が二枚。これで電話をかけ、「オレの過去にアクセスできるわけだが…誰も信じまい」と考える。 これが現実の災難だったら、人はまず警察に駆け込むのだろうが、一匹狼の戦いのドラマとしてはそれでは面白くない。 |
「オールド ボーイ」（双葉社）アクション・コミックス（Ｂ６判）全８
「ボーダー」狩撫麻礼原作、たなか亜希夫画 漂うアウトローのにおい←原作者・狩撫麻礼を知らない方はこちらへどうぞ
★(2005.9/16追記)
本作に登場したビルの７・５階にある“私設刑務所”というアイデアが、松森正・画、狩撫麻礼・作「バッドブラッド (BAD BLOOD、悪い血脈)」(徳間書店 トクマコミックス)ですでに使われていた。「女上位」という話では隠しフロアに秘密カジノなどがあり、最終話「楽園まで」ではズバリ“私設刑務所”が登場。昨夜、読み返していて気がついた。
「オールド・ボーイ」土屋ガロン作、峰岸信明画←狩撫麻礼の別ペンネームではとのうわさがある作品についてのコラム
★ファン待望の「漫画原作者、狩撫麻礼追悼本、7月発売決定!!」双葉社より***夢の屋ブログ記事2019/4/19★
http://yumenoya.seesaa.net/article/465257328.html
《狩撫麻礼さんの追悼ブログ記事》
狩撫麻礼さんは2018年1月7日に逝去、70歳だったそうです
★マンガ原作者・狩撫麻礼さんが1月7日に亡くなっていた 訃報は残念《追記/好きなマンガ家の享年》《1/16追記》原作掲載より、たなか亜希夫作画で連載を!!《1/20追記》***2018年01月16日
http://yumenoya.seesaa.net/article/456232177.html
◎《狩撫麻礼作品》「オールド・ボーイ」の源流2作品、時空を超えた同じキャラＱ《追記》萩尾望都「くろいひつじ」、「オールド・ボーイ」のメインテーマ《1/21追記》まんだらけの記事はオススメ***2018年01月20日
http://yumenoya.seesaa.net/article/456331423.html
◎《音楽の好みの違い》狩撫麻礼ならば…でもオレは…、カラオケ、音楽が流れるとムズムズする人!?(YouTubeは音楽の宝庫)***2018年01月23日
http://yumenoya.seesaa.net/article/456386832.html
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